フリーダムハウスによれば、イランは2014年以降、3カ国で少なくとも5件の暗殺または暗殺未遂とのつながりがあり、さらにそのほかの2カ国で複数の計画があった(いずれも未然に阻止された)。このことは、2000年代に小康状態にあった活動が再び増加に転じていることを示していると、指摘している。

イランが関与したとされる暗殺計画は、2015年と2017年にオランダで複数の元イラン軍関係者が殺害された事件と、2019年にトルコのイスタンブールで亡命したイラン元諜報機関当局者が銃撃されて死亡した事件だ。イスタンブールの事件については、トルコとアメリカが「イランの仕業だ」と主張している。

このほかに2つの計画が未然に阻止された。そのうちの1件は2018年にベルギーで、イランの反体制組織ムジャヘディン・ハルク主催のイベントを狙った爆弾攻撃計画だった。もう1件も2018年で、デンマークの当局が、(イランの反政府武装勢力)アワハズ解放アラブ闘争運動のトップを狙った暗殺計画を阻止したと発表している。

またアルバニアの当局者たちは、同国内に拠点を持つムジャヘディン・ハルクを狙った複数の攻撃を阻止してきたと主張している。

拉致・連行・死刑の強硬手段も

フリーダムハウスは、イラン政府は国外にいる反体制派の口を封じる手段として、身柄の引き渡しも行っていると指摘した。その一例が、フランスを拠点に活動し、イランの体制に批判的なニュースサイトやソーシャルメディアのチャンネルを運営していたルホラー・ザムだ。

ザムは2019年に(理由は不明だが)イラクを訪れていたところを、イランの工作員らに拉致されてイランに連行された。その後、彼は国家に対する複数の反逆罪で有罪となり、2020年12月に死刑が執行された。

フリーダムハウスはまた、イラン政府が国外で暮らす複数のイラン人を強制的に徴兵したり、インターポール(国際刑事警察機構)を使って反体制活動家に嫌がらせをしたり、スパイウェアを使って政府に批判的な者を監視したり、敵対勢力と見なす者の渡航の自由を制限するためにパスポートや犯罪歴を操作したりしたと指摘する。

「イランによる国境を越えた抑圧行為は、拉致や殺害、身柄の拘束にとどまらず、政治的な抵抗活動や独立系ジャーナリズムに関与した者を標的にそのほかの形で圧力をかけている」と報告書は指摘。その手法として「絶え間ない、集中的な嫌がらせ、脅しや監視」が行われていると述べている。

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