当局が年内にワクチンを緊急承認すれば、旅行やレジャーなどロックダウンで影響を受けた銘柄が上昇し、何年も相場をけん引してきたハイテクなど成長株から、バリュー株への資金シフトが勢い付くだろう。

ただ、ワクチンが承認されても、どの程度のペースで普及するのかという問題は残る。米国ではトランプ大統領と疾病対策センター(CDC)トップとの間で、ワクチン普及の時期を巡って見解が食い違っている。

ナショナル・セキュリティーズの首席市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「ワクチンの製造と供給に時間が掛かることが分かれば、市場に失望が広がるだろう」と述べた。

UBSの米・グローバル株式戦略ヘッドのキース・パーカー氏によると、ワクチンが承認されて普及した場合、S&P総合500種<.SPX>は足元の水準から300ポイント程度、8%余り上昇する可能性がある。

また、バンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチによると、ワクチンが来年第1・四半期に普及した場合、世界の来年の国内総生産(GDP)成長率は6.3%となるが、普及が来年第3・四半期にずれ込んだ場合には成長率が5.6%にとどまる見通しだ。

パーカー氏によると、臨床試験が失望的な結果ならS&P500は100ポイント、3%程度下げる可能性がある。米株式市場はワクチン開発が1つ頓挫しても「何とか切り抜けられる」が、「失敗が2、3個続けば、ワクチン開発競争の再考が起きそうだ」と話した。

(Lewis Krauskopf記者)

[ロイター]
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