富裕層についても、国立公園を中心に50カ所に世界水準のホテルを造るという戦略を打ち出していた。日本の強みである自然を生かした観光政策で、3密を避けるのにうってつけで、コロナ禍においても有望だ。

繰り返しになるが、そのためにも検査が不可欠だ。観光客を迎えるに当たって、いくら日本ではコロナが蔓延していないと言っても、データなしには信じてもらえない。

検査数が少ないこと、死亡数が過去の平均的水準をどれだけ上回っているかを示す「超過死亡」をタイムリーに公表していないこと。この2つが日本の決定的な問題だ。仮に検査体制をすぐに整えるのが難しくても、超過死亡のデータはもっと迅速に公表できるのではないか。このデータがあれば、コロナによる死亡者は最大でもこの人数だと示せる。国際的な比較ができる重要な指標だが、なかなか公表されない。

コロナ禍においても、グローバル化は止まらず、観光は死なない。だがウイルスと共存していくこれからの世界で、観光業の再生には賢い工夫が求められ、その実行には政治的判断が深く関わっている。

(構成・森田優介)

<2020年9月1日号「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集より>

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コロナ禍で脱グローバル化が起こるという議論があるようだが、そんなことは起こり得ないだろう。これまでにもペストやコレラなど、パンデミック(世界的大流行)は何度も起こったが、グローバル化が止まったことはかつて一度もなかった。

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