ニクソン政権下で秘密裏に始められた米中交渉以来、歴代米政権が継承してきた中国への戦略的関与は既にオバマ前政権時代に「死」を宣告されている。アメリカの失業率が記録的レベルに達し、経済が急激に落ち込むなか、対中融和姿勢を取りたがる政治家はいない。大統領選の民主党候補者指名が確定したジョー・バイデン前副大統領はとりわけそうだろう。

「中国に対してより強硬になる傾向は超党派のものだ。今回のパンデミックによって、その傾向は加速している」と、新米国安全保障センターのフォンは言う。

現在、直面する問題の解答としてデカップリングを選択すれば、将来的な頭痛のタネになるだけだ。中国がWTOに加盟した2001年当時、米通商代表を務めたロバート・ゼーリックはそう指摘する。「ある分野でシステムを妨害しようとしても、パンデミックであれ移民であれ、世界的拡大の動きは止まらない」

グローバル貿易体制を台無しにすれば、途上国の成長見通しは鈍化する。成長率低下は移民増加につながり、移民増加は先進国における政治的ストレスの増大を招く。ゼーリックの言葉を借りれば、「それは風船を押さえ付けるような行為」だ。

From Foreign Policy Magazine

<2020年6月16日号「米中新冷戦2020」特集より>

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だが歴史的な景気低迷のさなか、米政府は経済ナショナリストらの手中にあった。そのため、ジョセフ・グルー駐日米大使が東京から打電した警告に、ホワイトハウスは耳を傾けなかった。1935年のことだ。