しかし、今回審議される国家安全法制が成立すれば、民主派候補が大量に立候補を禁じられる可能性が出てくる。そうなれば、自由で公正な選挙など望みようもない。

国際社会はどのような反応を示すのか。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、この法制度が導入されれば「極めて強力な対処」をすると語っている。

それに対し、イギリス政府は歯切れが悪い。外務省は、「状況を注意深く見守っている」としか述べていない。

しかし、97年に香港を中国に返還するまで香港の宗主国だったイギリスには、法的・道義的責任がある。英政府は、97年以前に申請した香港市民に「イギリス海外市民(BNO)」のパスポートを発行している。彼らに英国永住権を認めたり、その子女で中国返還後に生まれた香港市民を「BNO」として認めたりすることもできる。

これが実現すれば歓迎すべきことかもしれないが、香港の状況が決定的に変わるわけではない。結局、香港の人々は独力で自由を守る戦いに臨まざるを得ない。超大国・中国と対峙する香港の若き活動家たちは、いわばナイフで銃に立ち向かうことになる。

From Foreign Policy Magazine

<2020年6月2日号掲載>

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