――最初に松之丞さんの講談をお聴きになった時の印象はどうでしたか。

太田 YouTubeに上がってるのとかで聴いたのかな。うまいと思いましたよ。講談って面白いんだけど、なかなか若手の男の講談師が出てこないなとも思ってて。だから松之丞を見たときは楽しみだなって思った。この先、伝統芸能の世界で、いずれは人間国宝になるような器だと思うし。講談を聴きたい人間にとっては、そういう人が出てきたのはうれしいかぎりだよね。

――松之丞さんは演芸の世界を志した原点として、常に談志体験を語っています。ただ、高座を観ることはできましたが、実際に会って話すことはなかったとのことです。生前、談志師匠とも深く交流のあった太田さんから見て、通じるところを感じることはありますか。

太田 まあ、DNAはあるんでしょうね。いま松之丞ってどのくらいの数の講談ができるんですか。

――150席は持っていると思います。

太田 そんなにできるの。それは凄いって思うよね。そこまで自分のものにするのは。俺はそんなの面倒くさくてやってらんないもん。漫才もやり捨てだから、こっちは(笑)

――最近、松之丞さんの生の高座を観られたことは?

太田 うちのライブに出てもらった時だね。

――タイタンライブでやった『中村仲蔵』ですね。観客の評判もかなりよかったですね。

太田 たっぷりやったからね。40分だっけ。見事だった。さんざん場末だなんだって言われたけどさ(笑)。でも、文句言えないよ。だって、あいつが出ることで、ビックリするぐらいチケットの売れ行きが違ったから。

――結果として、二の線の芸がお笑いのライブの中に入ると、すごく映えると思いました。

太田 うん、『中村仲蔵』をあれだけ魅せるのは凄いよ。ホント素晴らしかった。立川談志ですら、若い女の子は食いつかなかったわけじゃないですか。俺はそれをわからせたくて談志師匠とDVDを作ったことがあって。絶対この芸を観りゃ、女子高生でも談志の凄さはわかるだろうと思ったんだよ。

――『笑う超人』ですね。

太田 あれでも通じないというか、通じる云々の前に、まず観てもらえないからね。それが、うちのライブで若い子が松之丞の『中村仲蔵』に感動してましたからね。

――タイタンライブのあと、SNSに「中村仲蔵で泣いた」とか「圧倒された」と書かれているのを見て、時代が変わったなと思いました。

太田 単純にうれしいよね。ああ、やっぱりわかってはもらえるんだって。できれば、それをきっかけにさらに先にまで行ってほしいけど。でも、そういうのもタイミングがあるんだろうね。歌舞伎なんかも若い子に人気あるし。

「松之丞の芸がピークを迎える頃には、俺はおそらくこの世にいない(笑)」