死亡男性との接触者捜索、遺体は火葬へ

保健省では現在、感染した中国人男女と同じ航空機に搭乗していた乗員やパイロットなど身元の判明している人達を医療施設に隔離して経過観察を続けている。同時に搭乗した航空機の乗客、滞在したホテル関係者、利用した交通機関などでこの男女と接触した可能性のある人達の追跡調査を鋭意進めているとしている。

だが、フィリピン入国後の移動で複数の航空機を利用していることや利用した公共交通機関の特定が難しいことなどから接触した人々の発見、隔離にはなお時間がかかりそうだ。

とはいえ同省では国内感染拡大防止を最優先とするドゥテルテ大統領の強い方針を受けて、接触した人々を早期に割り出して、発見次第隔離措置をとる方針を再確認して関係各方面に捜索を依頼している。

3日に会見したドゥケ保健省は3日の時点でフィリピン国内では67人が新型肺炎に感染した可能性があるとして隔離、検査を受けていることを明らかにした。

その一方で保健省は1日に感染後に死亡した中国人男性の遺体について「(遺体の搬送などで)さらなる感染の危険性を完全に排除できない」との見方を示している。

このため可能であればマニラ市内の火葬場で火葬に付して遺骨を中国側に返還する方針を示し、現在マニラの中国大使館と協議、調整中であることを明らかにした。火葬した場合には感染したウィルスが死滅するため2次感染の危険性はなくなる、としている。

中国国内以外で初の新型肺炎感染者の死亡例が出たフィリピンだが、「今回の死亡例はフィリピン国内で感染したものでもなく、フィリピン人が感染した訳でもない」(保健省関係者)として政府は過度に不安にならないよう呼びかけている。また、国民の方も感染拡大措置がとりあえず自国民保護という観点ではこれまでのところ機能しているとの見方から、ドゥテルテ政権に対する信頼度は高まっているという。

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[執筆者] 大塚智彦(ジャーナリスト) PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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