2015年の核合意は国際協調路線を掲げる穏健派のハサン・ロウハニ大統領の努力の賜物だが、イラン国内でもゾルヌールのような強硬派やアリ・ハメネイ最高指導者は、以前にも増して態度を硬化させている。

7月8日、イランはウランの濃縮度を核合意で定められた上限3.67%を超すレベルまで引き上げることを発表、核合意の上限を上回る量の低濃縮ウランを貯蔵していることも認めた。

イランは常々、核兵器を開発する意図はないと訴えてきたが、アメリカと中東の同盟国であるイスラエル、サウジアラビアなどは信じていない。またイランがレバノン、イラク、シリア、イエメンなどで過激派を支援し、弾道ミサイルを開発して中東の不安定化を図っていると非難する。

なかでもイランとイスラエルは地域の仇敵同士。イスラエルは過去数十年、イラクとシリアの「疑わしい」核施設を攻撃してきた。イランも、イスラエルはイランの核科学者数人を暗殺した、と非難してきた。

ゾルヌールがイスラエルを脅し、イラン政府がウラン濃縮の上限超過を発表した翌日の7月9日、イスラエルのイスラエル・カッツ外相は、「イスラエルはイランが核兵器を手に入れることを許さない」と警告。

一方、イランの味方でイスラエルと2度の戦いと無数の小競り合いを繰り返してきたレバノンのシーア派民兵組織ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララは、「イスラエルの基地を直接攻撃できる精密ロケットを入手した」と発表。「これでこの地域のパワーバランスは一変するだろう」と言った。「アメリカがイランに戦争を仕掛ければ、中東は炎に包まれる」

(翻訳:栗原紀子)

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