さらに、モスラに詳しいモナークの考古人類学者チェン役で日本でも人気のある『グランド・マスター』(13)などの中国人女優チャン・ツィイーが参加し、本作では大きな決断を迫られる芹沢博士を渡辺謙が熱く演じる魅惑のキャスティングが実現しているのだ。

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前作より貫禄が増した我らがゴジラ。果たして"彼"は人類の敵なのか、味方なのか? 身体や背びれを美しく光らせるその雄姿がその答えを代弁している。 ©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

そんな超注目作の撮影現場に潜入したのは、一昨年の8月下旬。場所は米・アトランタ。聞くところによると、ハリウッド大作の多くは少し前までカナダのバンクーバーで撮影されていたが、いまはさらに税率が低いアトランタで制作するのが主流になっているのだとか。

というわけで、この日も市街地から車を20分ほど走らせたところにある巨大な家具倉庫を使ったスタジオに向かったのだが、中に入ってそのあまりの大きさに驚いた。移動にカートを使うその広大な敷地の複数のステージには、モナークの基地や南極基地のセットが。脇には巨大な輸送機の実物大の美術(大道具?)が転がり、屋外には怪獣たちの激闘で破壊されたと思われるボストン・レッドソックスのホーム球場"フェンウェイ・パーク"の巨大な瓦礫が散らばっていて、それを見ただけで本作のとてつもないスケールを実感することができた。

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孤軍奮闘の渡辺謙。 ©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

絶対に妥協しない、ドハティ監督のこだわり。

この日撮影されていたのは、芹沢やチェンらの乗る潜水艦が海中で何かに激突するくだり。乗組員たちがその衝撃で吹っ飛んだり、物につかまって必死に転倒を避けようとする姿をカメラのアングルを変えながら撮っていくのだが、そのテイク数の多さは渡辺謙が「前作のギャレスも相当だったけれど、マイケルも負けないくらい執念深い」と現場で苦笑いするほど。

そう言いたくなるのも無理はない。何しろ、日中から夜の9時過ぎくらいまでずっとその一連のシーンを撮っていたのだから。だが、それは「僕はソウル(魂)が感じられる芝居を常に俳優たちに求めている」という絶対に妥協しないドハティ監督のこだわりの証し。

「だから、ソウルが感じられるまで何度でもテイクを重ねるし、話し合いもする。本作をただの怪獣映画だと思っているキャストには、『ゴジラ』映画の根底にある精神を徹底的にレクチャーしたよ」

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ラドンには日本のオリジナルのラドンの描写が忠実に受け継がれている。高速で飛行するその雄大なシルエット、衝撃波で家々の屋根が吹き飛ぶ驚愕の映像はハリウッド・デビューの名刺代わり!? 本作オリジナルの攻撃スタイルも必見だ。 ©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

とは言え、スタジオの中は別にピリピリしているわけでなく、心地よい緊張感が漂っている。そんなドハティ監督の現場の印象を、セットの脇で台本を片手にセリフを頭の中に叩き込んでいたチャン・ツィイーが教えてくれた。

「いままでのすべての『ゴジラ』映画に敬意を払いたい」