――斎藤工さんとは以前から交流があった?

『TATSUMI』を東京国際映画祭でお披露目したとき、別所さんがパーティーを開いてくれた。そのとき工とは挨拶を交わした程度だったが、一昨年の始め、具体的に話を持ち掛けてスカイプで話したところ、真人の役にパーフェクトだなと思った。

真人の叔父役のマーク・リーはシンガポールの有名コメディアンですごく面白い人。彼と工の掛け合いはほぼアドリブでやっている。マークにはシングリッシュ(シンガポール独特の英語)の話し方をしてほしいと頼んだので、工はあまりよく分かっていないみたいだったが(笑)。マークが工をシンガポールのいろんな場所に連れ出してくれて、その仲のいい感じが現れていると思う。

今回の脚本は英語で書かれたものを日本語に訳したが、別所さん、伊原さん、聖子、工はみんな英語を理解するので、読み合わせのときに「このセリフはぴんとこない」とか「こう言ったほうがいい」とかアイデアを出してくれたのがとても良かった。

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(c) Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

――これからも日本との合作は予定している?

イエス。長年日本で撮りたいという気持ちはあったが、橘さんがこの話を持ちかけてくれるまで実現するとは思わなかった。でも『家族のレシピ』で日本のクルーや役者と仕事をして、本当にうまくいった感覚があったので、次回作も日本で撮ろうと思っている。

――松田聖子さんが、特に最後の場面など主役を食うほどの存在感があった。監督の愛情ゆえ?

僕は今でも彼女のレコードを持っているし、今回、サインもしてもらった(笑)。

彼女とは一昨年の5月頃にスカイプで話をしたが、憧れのアイドルと話をするのは「ワーオ」って感じだった。7月の撮影開始の2日前に初めて東京で会った。「これはインディペンデント作品なので、専用のバンを用意したりといったVIP対応はできません。たぶん箱の上に座って、みんなと一緒にケータリングのランチを食べたりすることになる。シンガポールは暑いし、蚊もいたりする」と説明したが、彼女は一言、「ノー、プロブレム(問題ない)」と。

聖子はスター気取りのところが全くなくて、仕事のやり方も本当にプロ。撮影期間は18日間しかなかったが、多くても3テイク、ほとんど1、2回で決めてくれた。マークも彼女の大ファンで、一緒に写真撮りたいんだけど......と周囲に頼んでいた。彼女とは今夜会うんですよ(笑)!

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