tESを使って記憶力や知的作業の能力を強化する装置ができれば、例えばわが子をハーバード大学に入れたい親にとっては魅力的に違いない。

2013年にオックスフォード大学のロイ・コーエン・カドシュが発表した研究によると、学生の神経細胞に刺激を与えたところ、数学の点数が大きく伸びる結果が見られた。この朗報を無視できる親がいるだろうか。ただし、タラルなど専門家が指摘するように、成長途中の若い脳にtESを与えた場合の影響は、まだ解明されていないこともある。

グーグルなど最先端のオフィスでは、社員の休憩室や社員食堂に「tESコーナー」ができるかもしれない。高齢者は、脳の若さと柔軟性を保ち、周囲に負けないためなら、何でも歓迎するだろう。

ただし、チャオは過剰な期待をあおらないように注意している。「アルツハイマーが治るとか、誰もがピカソになれるとか、そういうことは科学的に証明されていない」

とはいえ、ホテルのロビーで試しただけでも、私は大いに興味をそそられた。ヘイローは私のサッカーのテクニックと、仕事の能力と、人生を向上させてくれるだろうか。

私の脳が25歳若返れば、少なくともパーティーで会った人の名前を全て記憶できるかもしれない。

<2019年3月19日号掲載>

※この記事は本誌「ニューロフィードバック革命:脳を変える」特集より。詳しくは本誌をご覧ください。
ここはホテルのロビー。私の目の前に置かれたガジェットは見た目はただのヘッドホンだが、内側にいくつもスパイクが付いている。頭皮マッサージ用? いやいや、そうじゃない。
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