Ellen Zhang Kevin Yao
[北京 28日 ロイター] - 中国の各地方当局が公表した2026年上半期の成長率データは、経済の構造転換が地域によって大きく異なるペースで進んでいる実態を浮き彫りにした。中央政府が推進するハイテク産業の最前線に立つ省・市が成長を加速させる一方、伝統産業への依存度が高い地域は後れを取る「二極化」が鮮明だ。
また輸出や製造業が好調を維持して成長を支えている一方で、不動産市場の低迷や個人消費の弱さが内需の重荷となっており、「供給は強いが需要は弱い」という経済の不均衡是正への政策担当者の取り組みも難しくなりつつある。
主要な省・直轄市の中では、広東省、浙江省、上海市、安徽省、山東省が全国的な景気減速の例外的存在と言える。中国全体の国内総生産(GDP)成長率が、25年の5.0%から26年上半期には4.7%へ鈍化したにもかかわらず、これらの地域は成長率が加速。いずれも先端製造業、半導体、人工知能(AI)関連産業、高付加価値輸出への依存度が高いという特徴がある。
地方統計当局の発表に基づくと、中国本土の31省・自治区・直轄市のうち、15地域が全国平均の4.7%を上回る成長を達成した一方、16地域はこれを下回った。
<新たな成長エンジン>
製造業の一大拠点である浙江省は5.7%の成長で全国をリードした。これに続いたのは山東省、安徽省、そして金融センターである上海市の5.6%。成長を支えたのは半導体、電気自動車(EV)、ロボット、人工知能といった分野だ。
対照的に不動産や伝統産業への依存度が高い湖南省、吉林省、山西省、遼寧省などは上半期の成長率が低迷した。これは、強力なハイテク製造業を育成できていない地域が直面する課題を浮き彫りにしている。
上半期の成長率は湖南省が2.7%、吉林省が2.4%、山西省が2.1%、遼寧省が2.5%にとどまった。
ANZ銀行の中国担当シニアストラテジスト、ザオポン・シン氏は「各地域の成長率の差は、旧来型の成長要因と新たな成長要因への依存度の違いを反映している。伝統産業への依存が大きい地域は概して成長が鈍く、新経済産業の比重が高い地域ほど高成長を実現している」と分析した。
成長率が25年実績を上回った地域はわずか6つにとどまり、その中には広東省、浙江省、上海市、安徽省が含まれる。ハイテク製造業が地域経済成長のけん引役としてますます重要になっていることを示している。
安徽省は湖南省を抜いて中国の省・市別GDPランキングで再び上位10地域入りを果たし、上半期のGDPは2兆7400億元(4049億ドル)となった。
同省の躍進を支えているのは電気自動車と電子機器産業。ハイテク製造業の生産は前年同期比44.6%増、自動車製造は29%増となった。新エネルギー車の生産は20.6%増、産業用ロボットは16.2%増だった。
また輸出額は37.6%増加し、このうちハイテク製品の輸出は78.3%増、自動車輸出は2倍超に拡大した。こうした伸びにより、不動産投資の33.7%減少や消費低迷の影響を一部相殺した。ただ小売売上高の伸びは1.6%にとどまり、個人消費の弱さは依然として課題となっている。
<GDP以外で評価も>
習近平国家主席は3月、中国の主要地域に対して単に経済成長をけん引するだけでなく、技術革新や産業高度化、「新たな生産力」の育成を主導するよう求めた。これらが国家経済の安定維持に不可欠だとの認識を示している。
上海市の底堅さは集積回路、AI、金融分野によるものであり、北京市はサービス業への依存度がより高かった。
一方で消費と投資は全国の多くの地域で依然として低調だった。経済規模上位10地域のうち、商品小売売上高の伸び率が2%を超えたのは4地域だけ。上海市の上半期の小売売上高は0.7%増にとどまり、北京市では2.2%減少した。
固定資産投資は少なくとも18地域で前年を下回った。上海市は6.8%増、北京市は3%増と堅調だった。
エコノミストの間では、政府が掲げる年間成長率4.5-5.0%の目標達成に向け、下半期には地方政府が既に予算計上済みの投資プロジェクトを加速させるとの見方が広がっている。
ただANZ銀行のシン氏は、もはやGDPランキングだけでは地域の実力を十分に測れないと指摘する。地方政府は現在、債務問題の解決や社会保障の充実、環境目標の達成などについても評価されるようになっているためだ。
同氏は「GDPはもはや地方政府を導く唯一の指標ではなくなった」と述べた。