Lewis Krauskopf
[ニューヨーク 3日 ロイター] - 米国の主要株価指数は、急騰するハイテク株への依存度をこれまで以上に高めている。市場をけん引しているハイテク銘柄が失速した場合、株価指数が下落するリスクも増大している。
過去2カ月間のハイテク株の驚異的な上昇により、S&P500情報技術株指数はS&P総合500種指数の時価総額のうち過去最高の39%超を占めている。これは2000年のITバブル時に達した水準をも上回っている。
米証券会社ミラー・タバックのチーフ市場ストラテジスト、マシュー・マリー氏は「この市場の上昇をけん引してきた少数のハイテク株が下落に転じれば、当然ながら株価指数も下落に転じるだろう」とし、「株価指数が大幅に下落すれば、資金の流れは必然的に逆転する」と言及した。
人工知能(AI)の利用急拡大を見据えた大規模なインフラ整備に伴って半導体などのハイテク企業の利益予想が上方修正され、株価も上昇している。
シュワブ・センター・フォー・ファイナンシャル・リサーチのチーフ投資ストラテジスト、リズ・アン・ソンダース氏は「好調な銘柄には、AIという包括的なテーマがあるのは明らかだ」と指摘する。
ハイテク株はかねてからS&P総合500種指数をけん引してきたが、最近の好調ぶりはその影響力をさらに強めた。半導体株を筆頭にハイテク株は3月の年初来安値から47%近く急騰し、同期間のS&P総合500種指数の上昇率の2倍超を記録した。中でもマイクロン・テクノロジーの株価は230%急騰し、インテルとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) もそれぞれ160%超上昇した。
ハイテク株主導の株価上昇は、米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発した中東紛争によるエネルギー価格高騰、インフレ加速懸念、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め強化の見通しが広がっている中での動きだ。
投資家の間では、AIブームに水を差すような何らかの引き金を警戒する声が上がっている。
グリーンウッド・キャピタルのウォルター・トッド最高投資責任者(CIO)は「現在の株価の推移は(中略)まるで時速200マイルでレーシングカーを運転しているようなものだ」とし、「その速度ではちょっとしたことで事故を起こしてしまう」と警戒感を示す。
半導体株が驚異的な上昇を続ける一方で、ハイテク株の他の分野も堅調に推移している。デルやシスコシステムズ、アップルを含めたS&P500種のハードウエア株は、3月に付けた年初来安値から40%超上昇している。2026年に入ってからAIによる業界再編懸念から売りを浴びせられたソフトウエア株も28%上昇し、損失の一部を回復した。
LSEGデータストリームによると、今月1日時点でS&P総合500種の時価総額に占めるハイテク株の割合は39.4%に達し、ITバブル期の2000年3月の35%弱を上回った。
当時と現在との違いは何か。ベスポーク・インベストメント・グループによると、利益がより堅調なのが要因だ。同社によると、S&P総合500種構成企業の過去12カ月間の純利益に占めるハイテク株の割合は4分の1超を占めており、00年第1・四半期の約2倍となった。
ベスポークは「利益の成長が市場の織り込みに追いつけるかどうかは定かではないが、収益性で見ると今回の時価総額シェアの急上昇は四半世紀前にピークを迎えたものよりもはるかに持続可能であり、不合理な要素も少ない」との見解を示した。
<限られる上昇幅>
一方でハイテク株主導の相場は上昇幅が限られ、十分な銘柄が上昇に追随できていないとの懸念が生じている。
LPLファイナンシャルのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、アダム・ターンクイスト氏によると、S&P総合500種構成銘柄の約60%が注目のトレンドラインである200日移動平均線を上回って取引されている。これはS&P総合500種が過去最高値を更新する際に通常見られてきた約73%を下回る。
しかしターンクイスト氏によると、2022年10月に始まった今回の強気相場でS&P総合500種構成銘柄の平均61%がそれぞれの200日移動平均線を上回って取引されており、これは現在の水準に近い。同氏は「市場が最高値を更新している割には」市場の広がりが物足りないとしながらも、「私たちが経験してきた強気相場ではかなり典型的に見られる現象だ」とした。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米株式担当責任者のデビッド・レフコウィッツ氏は「AI関連銘柄の相場にはまだ上昇の余地があると考えているが、同時にポートフォリオのリスクが過大にならないように調整する好機だと思う」と語った。