Sinéad Carew

[3日 ロイター] - ソフトウエア企業は人工知能(AI)によって衰退することはなく、むしろ成長が後押しされるとの見方が広がり、株価が急反発している。

ソフトウエア企業を中心に組み入れる上場投資信託(ETF)「iシェアーズ・エクスパンデッド・テック・ソフトウエア・セクターETF」は4月の安値から42%近く上昇。以前はAIによってソフトウエア業界の中核が破壊されると懸念されていたが、ソフトウエア企業はAIを有力な成長エンジンとして活用するとの期待に変わった。同ETFは一時30%下落したものの、年初来の下落率は2%弱まで縮小した。

投資家はAIの導入に成功し、従来の「利用人数に応じたサブスクリプション(定額課金)」から、「実際の利用量に応じた従量課金モデル」へ移行できる企業に資金を振り向けており、こうした移行が進まず、従来型料金体系への依存度が高い企業は敬遠されている。

アナリストや運用担当者は有望な銘柄として、クラウドセキュリティーのデータドッグや情報セキュリティーのパロアルトネットワークス、半導体設計ソフト大手シノプシス、さらにはオラクルやマイクロソフトといった大型企業を挙げている。

米南部ジョージア州アトランタのシノバス・トラストでポートフォリオマネジャーを務めるダニエル・モーガン氏は、「AIは確かに大規模な変革を引き起こしているが、業界を破壊しているのではなく、業界の地図を書き換えているのだ」と指摘した。

ソフトウエア株は過去数カ月の急落によって、多くの投資家が売られ過ぎだとも判断し始めた。その結果としてAIブームを背景に半導体株を中心にテクノロジー株全体が上昇する中、割安感の強まったソフトウエア株は見直し買いが進んだ。

反発の勢いは先週さらに加速した。ソフトウエア企業スノーフレークとデータベースのモンゴDBが市場予想を上回る好決算と強気の業績見通しを発表し、投資家心理が改善したためだ。

キャンターのソフトウエア株担当リサーチ責任者、トーマス・ブレイキー氏は「こうした決算はソフトウエア企業がAIの恩恵を受ける存在になることを示している」と述べた。ブレイキー氏はスノーフレークとモンゴDBの株を「オーバーウエート(強気)」と評価。「投資家はAIの影響について織り込んだシナリオは悲観的過ぎた」と分析した。

ソフトウエア株をさらに押し上げたのが、AI半導体最大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)の発言だ。フアン氏は台北で開催されたIT見本市「コンピューテックス」で「(AIが自律的に業務を行う)AIエージェントによってソフトウエア需要は拡大する。世界はもはや人間の数による制約を受けなくなり、AIエージェントはこれまで以上に多くのツールを利用するようになる。今はソフトウエア企業にとって信じられないほど素晴らしい時代だ」と語った。

<銘柄選別が重要>

もっとも、いま問われているのは、変動が常態化しているこの業界で、今後の展開がどうなるのかということだ。

iシェアーズ・エクスパンデッド・テック・ソフトウエア・セクターETFは2日に2.8%下落。前日に9.7%上昇していたセールスフォースが4.2%の下落に転じたのが重しとなった。セールスフォースは、新規株式公開(IPO)を申請したAI企業アンソロピックへの主要出資者かつ利用企業として注目されている。

投資家の多くは長期的な勝者を見極めることが重要だとみている。

ジャナス・ヘンダーソンのポートフォリオマネジャー、ジョナサン・コフスキー氏は、クラウドセキュリティーのデータドッグを高く評価している。同社は従量課金モデルを採用し、AI向けデータセンターの拡大に伴う需要増加も追い風になっている。データドッグ株は1日に過去最高値を更新し、価格が年初来でほぼ2倍に膨らんだ。AI需要を背景とするセキュリティーツール需要の拡大を受け、通期業績見通しを引き上げたことで、1日で31%急騰する場面もあった。

イートン・バンスのポートフォリオマネジャー、ダグ・ロジャース氏はパロアルトネットワークスを有望視する。同社のファイアウォール事業は利用者数の影響を受けるものの、サイバー攻撃の脅威拡大が収益の押し上げにつながるとみている。「潜在的な脅威や脆弱性の件数が増え、こうした問題への認識が高まるほど、パロアルトは防御サービスに対してより高い価格を設定できるようになる」と述べた。

パロアルト株は2日に下落したが、前日には過去最高値を更新しており、年初来の上昇率はなお61%を超えている。

ハンティントン・ナショナル銀行のマーク・ディザード最高投資責任者(CIO)はオラクルを推す。顧客基盤が巨大なため「適切な料金体系を確立するための時間的余裕がある」という。オラクル株は一時約30%下落していたが、その後持ち直して年初来で25%超の上昇となっている。

マイクロソフトについても多くの投資家が有望視している。株価は年初来で約9%下落しており、一時は26%安まで売り込まれた。しかしイートン・バンスのロジャース氏は、生成AIアシスタント「コパイロット」とクラウド事業「アジュール」がAI収益化の大きな機会になると見込む。

インガルズ&スナイダーのシニア・ポートフォリオストラテジスト、ティム・グリスキー氏は、「マイクロソフトはその規模と事業領域の広さを考えれば、単なる生き残り企業ではない。常に競争の中心にいる存在だ」と言い切った。

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