Echo Wang
[ニューヨーク 3日 ロイター] - 米実業家イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXは3日、新規株式公開(IPO)価格を1株当たり135ドルに設定したと発表した。ウォール街で長年続いてきた価格発見の仕組みを覆す動きで、自らのやり方で記録的な資金調達を実現しようとするマスク氏の決意を浮き彫りにした。
価格は当初11日に設定される見通しだったが、1週間前倒しで決定された。米国の主要IPOではほとんど前例がない。
ロイターは2日、関係者の話として、IPO価格が135ドルに設定されたと報じていた。
調達額は750億ドルを目指しており、IPOとして過去最大規模となる見込み。企業価値は1兆7500億ドルに達する見通しで、米上場企業の時価総額トップ10入りを直ちに果たすとみられる。
同社は4日に投資家向け説明会(ロードショー)を開始する。
IPOへの参加を計画する投資家の1人は「今回のIPOに通常と呼べる要素は何もない。ただ、史上最大のIPOなので、それも驚くべきことではないかもしれない」と語った。
ウォール街では、極めて高い評価額への懸念があるものの、マスク氏の名声と数百万ドル規模の手数料を生み出す同案件への参加を巡って争奪戦となっているようだ。
前出の投資家は「早期に資金を投じた」と表明することで、大手企業が「体裁を取り繕っている」ような雰囲気があると指摘。こうした構図はマスク氏の投資家に対する優位性を反映すると同時に再確認するものだと語った。
スペースXには明確な公開市場の比較対象がない。上場している宇宙企業が少なく、同社の事業が航空宇宙、通信、防衛にまたがるためだ。同社は2025年に売上高が33%増の186億7000万ドルとなった一方、49億4000万ドルの純損失を計上した。
世界の通信業界団体GSMAの調査部門GSMAインテリジェンスの調査・コンサルティング責任者、ティム・ハット氏は「表面的に見れば、売上高の90倍超という評価倍率は、どの基準に照らしても高い。とはいえ、スペースXはあらゆる意味で伝統的な企業ではなく、真の意味で比較できる上場企業は存在しない」と述べた。