Balazs Koranyi
[ドブロブニク(クロアチア) 30日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)とクロアチア中央銀行が共同開催した30日の会議で、出席者から中央銀行の独立性が再び圧力にさらされている事態への懸念が相次いで示された。
物価が高騰する中での利上げ対応は一般的に不人気で、これが政治的介入を招けば、金融政策の信頼が損なわれ、危機が深刻化する可能性があるという。
イランでの戦争が原油価格を押し上げて以来、世界中でインフレが加速しており、中銀は一過性のショックが定着するのを防ぐため、利上げや、以前に示唆していた利下げの延期を余儀なくされている。
会議に出席したIMF欧州局のヘルゲ・ベルガー副局長は「物価上昇率が低い時に独立した中央銀行家であることは容易だが、インフレが進み、人々に好まれないことをしなければならない状況では、はるかに複雑になる」と語った。
ベルガー氏は「これは白兵戦だ。われわれは現在の状況を正しく把握し、対処する必要がある」と訴えた。
独立性に対する最も明白な挑戦として挙げられるのは、トランプ米大統領による繰り返しの利下げ要求だが、政治的圧力は広く浸透しており、他の地域ではより巧妙な形で行われることが多い、というのが政策担当者らの見方だ。
一部の中銀は産業目標を支援するために政策を調整するよう求められ、他の中銀は国家予算への利益納付を迫られており、また矛盾する使命を与えられているケースもある。
高水準の政府債務も事実上の独立性の制約として機能している。インフレの通常の治療法である利上げが債務危機を引き起こすリスクがあるため、金融引き締めの余地が限られているからだ。
中銀がインフレ対策において独立して行動していることに市場が疑念を抱けば、市場は金融緩和を織り込み始め、物価上昇の抑制はさらに困難になる。
ドイツ連銀のブルクハルト・バルツ理事は「独立性は機能している時は当たり前だと思われがちだが、一度損なわれると再構築するのは難しい。物価の安定を実現するためには、金融政策を短期的な政治的動機から保護する必要がある」と強調した。
ただ2021年から22年にかけての物価急騰局面での中銀の対応の遅れも、信頼性を傷付けたとの声も出ている。
当時の政策担当者は、その規模を把握して記録的な速さの引き締めサイクルを開始するまで、数カ月間にわたってショックを「一時的」なものだと説明していた。
イスラエル中銀元総裁のヤコブ・フレンケル氏は「なぜ後手に回ったのか。その理由の1つは、いわゆる『データ依存(データ・ディペンデント)』であろうとするわれわれの傾向と執着にあると考える」と述べた。
フレンケル氏は「データ依存とは、実際に事態が起こるのを確認するまでは対応しないということだ。定義上、事態がすでに発生している時には、もう後手に回っている」と警告した。