[ロンドン 29日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のベイリー総裁は29日、英国の銀行はサイバーセキュリティーリスクに対するシステムの耐性を確認するために米アンソロピックの人工知能(AI)モデル「クロード・ミュトス」に依然としてアクセスできていないと明らかにした。
ベイリー氏はブルームバーグ・テレビの取材に対し、アンソロピックは試験的にモデルを共有する意向を示しているものの、政治的な障害があるようだとした。
「まだ実現しておらず、米政権との手続きに多少巻き込まれているようだ」と語った。
「なぜ企業ごとに手続きが多少異なるのか、残念ながら説明できない。当然ながら、われわれの立場からすれば、関連するリスクへの懸念を踏まえると、アクセスが確保されることが非常に重要だ」と述べた。
アンソロピックは、米軍によるAIツール利用に関する安全策を巡り、米政権と対立してきた。
ベイリー氏は4月、クロード・ミュトスが重大なサイバーセキュリティー上の危険をもたらす恐れがあると警戒感を示していた。
その後、一部のサイバーセキュリティー専門家はロイターに対し、このモデルによって歯止めの利かないハッキングが横行するとの懸念は誇張されていると語っている。
国際的な基準設定機関である金融安定理事会(FSB)の議長も務めるベイリー氏は、ハッキングリスクに対してはグローバルなアプローチが必要だと指摘。
「この種のサイバーリスクによる波及効果はかなり大きいため、単一の国家的な対応だけでは不十分だ」と述べた。