David Morgan
[ワシントン 30日 ロイター] - 米議会上院の共和党議員は、休会明けに厳しい選択を迫られる。それはトランプ大統領が提案した政府による司法の「武器化」の被害者に対する補償基金について、世論の反発が強い中で支持するか、「刺客」を送り込んで2人の同党上院議員の政治生命を終わらせたばかりのトランプ氏に逆らうかの選択だ。
総額18億ドル規模の補償基金が物議を醸している。メモリアルデーの1週間の休暇前に行われた上院共和党議員とブランチ司法長官代行との2時間に及ぶ激しい会合では、議員の約半数が基金設置案に難色を示した。そのため党指導部は、トランプ氏の大統領任期末までの移民取り締まりに72億ドルの予算を振り向ける法案の可決を目指す計画を、中断せざるを得なくなった。
共和党内では、この法案に対する野党民主党からの繰り返しの修正要求などを回避する上で、基金に対する制度上の歯止め(ガードレール)を設けるよう司法省に求める声が強まっている。
基金案は、トランプ氏が自身の納税記録の不適切な取り扱いを巡って政府を相手に100億ドルの賠償金を求めていた前代未聞の訴訟を解決するため、同氏と司法省、内国歳入庁(IRS)の間で成立した法的和解から生まれた。
この発表は激しい批判を呼び、特に議会では2021年1月6日の連邦議会襲撃事件で有罪判決を受けた人々も給付対象になることへの懸念が広がった。
ブランチ氏は議員との会合で、基金からトランプ一族や暴力犯罪で有罪判決を受けた人々への支払いは行われないと説明したとされる。ただ議員らはそれらの保証に加え、適格要件、基金委員の選出における議会の関与の強化、そして何らかの形での司法の監視を文書で求めている。
共和党上院トップのスーン院内総務は、司法省とホワイトハウスに対し、どのようなガードレールを受け入れるかについて議員に明確にするよう求めた。ただ複数の上級スタッフの話では、これまでのところ沈黙が続いているという。
ホワイトハウス高官の1人は29日に「政権は先週の対話とフィードバックに感謝している。必要に応じてさらなる対話が行われることを期待している」と語った。司法省はロイターのコメント要請に回答しなかった。
一方共和党ストラテジストらは基金について、何らかの制限が設けられたとしても、11月の中間選挙に向けた政治的な「厄介者」になる恐れがあると指摘する。既に消費財価格の高騰、不人気なイランとの戦争、そして共和党員の間でさえ低下しているトランプ氏の支持率という逆風がさらに強まりかねない形だ。
ストラテジストの1人は「これが有利な争点になると考えている者は誰もいない。普段は選挙を心配する必要のない共和党の安全な下院・上院議席を持つ者でさえ、これに関わりたくないと思っている」と明かした。
トランプ氏が「刺客」によってジョン・コーニン、ビル・カシディ両上院議員を予備選で落選させたこともあり、議員たちはこの問題に正面から立ち向かう意欲をほとんど見せていない。
それでも最も落選の危機に瀕している共和党下院議員の1人、マリアネット・ミラー・ミークス議員は、地元アイオワ州のデモイン・レジスター紙に「私は武器化対策基金について懸念を抱いている」と語った。
同議員は「より多くの情報と監視が必要だ。誰が決定し、どこへ行くのかを知る必要がある。今のところ、答えよりも疑問の方が多い」と訴えた。