Michael S. Derby

[29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の当局者らは29日、中東での戦争がすでに高水準にあるインフレを持続的に押し上げる場合、将来的に利上げを行う必要が生じる可能性があるとの見方を引き続き示した。

金融政策見通しが変化する可能性は、FRBの中でも最もハト派的な政策当局者の一人であるボウマン副議長(金融監督担当)にも受け入れられている。ボウマン氏はアイスランドでの会議で、戦争とそれに伴うエネルギーショックが金利見通しに関する自身の見方を変える可能性があると述べた。

ボウマン氏は「イラン紛争による経済的影響の規模と持続性を評価するには、まだ時期尚早と思われる」としながらも、インフレを押し上げているエネルギーショックが広範囲な物価上昇圧力に拡大すれば、「リスクバランスについての考え方を変える可能性が高くなる」と述べた。これは、利上げの可能性を示唆する発言である。

当局者の多くは、現在のエネルギーショックを一時的要因として片付けることが難しいかもしれないと懸念している。インフレ率が長年にわたりFRBの2%目標を上回って推移しているためだ。

こうした見方から、複数の当局者はすでに、利上げを検討する姿勢を示している。

米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は29日、ソウルで開催されたイベントで「直ちに利上げを行う必要があると結論付けるのは時期尚早だと思うが、インフレがさらに上昇し続け、インフレ期待がアンカーから外れるリスクに一層注意を払う必要があると感じている」と語った。

同総裁は先月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で反対票を投じた3人のタカ派の一人である。

金融市場では、FRBは、現在3.50─3.75%の政策金利を、おそらく年末までに引き上げることになるとの見方が織り込まれている。イランとの戦争が始まる前には、FRB当局者らは利下げを視野に入れていた。

米フィラデルフィア​地区連銀のポールソン総裁は29日、「緩やかに引き締め的」な金融政策は、インフレ圧力が依然として高すぎる不確実な見通しに対して「適切な位置にある」との認識を示した。また、「市場参加者が、政策金利が長期間据え置かれるシナリオと、さらなる引き締めが必要となるシナリオの両方を考慮していることは健全だと思う」と述べた。

一方、米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、FOXビジネスネットワークのインタビューで、金利について「調整を急ぐ必要はない」「政策は良い位置にある」などと述べた。これはFRB当局者が、政策金利を現行水準に維持することに違和感がないことを示す際によく使う表現である。

デイリー氏はまた、今後の動きはイラン戦争が実際にいつ終結するかに左右される可能性があるとも表明。原油先物価格が「紛争の長期化を理由に上昇し始めるなら、インフレという観点から見た経済見通しについて、私の考えは変わるだろう」と述べた。

この日の原油先物は2%超下落した。米国とイランが停戦をさらに60日間延長することで合意したとの報道が材料となった。

それでも、少なくとも短期的には、FRBにとってインフレリスクが明らかに高まっている。

米商務省が28日発表した4月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比3.8%上昇し、2023年5月以来の大幅な伸びとなった。

ボウマン氏と同じ会議で講演した米カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁は「私の最大の懸念はインフレだ。インフレは過熱しており、目標を上回る状態があまりに長く続いている」と表明。エネルギーショックを持続的な影響のないものとして見過ごすという教科書的な戦略は、現時点では有効ではないと付け加えた。

シュミッド氏はまた、原油ショックの展開次第だとしたうえで、「現段階でわれわれはそれほど制約的ではない。したがって、もう少し制約的にするために実際にどのような手段があるのか、検討を始める必要があるという議論が一部であると思う」とし、金利政策にとどまらずFRBのバランスシート運営も含めた対応の可能性を示した。

バランスシートに関する同氏の見解は、FRBの債券保有を金利政策の補強に用いることに懐疑的な姿勢を示しているウォーシュFRB議長の見解とは対立する可能性が高い。

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