Clyde Russell

[ローンセストン(オーストラリア) 28日] - アルゼンチン、ブルネイ、ガボンの3カ国には一見、大きな共通点がないように思われる。しかしこの3カ国は、イラン紛争によって「勝ち組」となった少数のエネルギー生産国グループに属している。

イラン紛争に関する世間の注目は、ホルムズ海峡の事実上の封鎖がもたらす原油や天然ガスの価格高騰に集まっている。

インフレの進行、サプライチェーンの混乱、そして石油製品、肥料、鉱石の処理に使われる材料といった物資不足リスクの高まりは、最終的にすべての国に代償を強いる。

しかしその一方で、原油、石油製品、液化天然ガス(LNG)の価格上昇によって、インフレのコストを上回る大きな恩恵を得ている国々もある。

人口わずか50万人弱で、東南アジアのボルネオ島に位置する君主国ブルネイが良い例だ。

同国は、ホルムズ海峡封鎖によるアジア地域でのエネルギー価格高騰をとらえ、2月28日の戦闘開始以来、原油、石油製品、LNGの輸出を増やしてきた。

コモディティー分析企業ケプラーがまとめたデータによると、ブルネイの4月の原油輸出量は274万バレルとここ3カ月で最も多く、昨年4月の181万バレルから51%増加した。

ケプラーの予測では、ブルネイの5月の石油製品出荷量は416万バレルに達し、昨年7月以来の最高を記録する見通し。最大の輸出先は、世界屈指の軽油輸入国であるオーストラリアだ。

またブルネイの5月LNG輸出は33万トンと、前月の37万トンからは減少するものの、昨年5月の28万トンを大きく上回る見通しだ。

ブルネイは輸出量を増やしただけでなく、特に石油製品において以前よりはるかに高い価格を享受するだろう。

シンガポール市場のジェット燃料価格は、26日終値で1バレル当たり139.18ドルだった。3月30日に記録した過去最高値の242.06ドルからは下落したが、依然として攻撃前を49%も上回っている。

軽油価格は、シンガポール市場の26日終値が1バレル当たり138.68ドルと、戦闘開始から52%上昇。ジェット燃料と軽油はいずれも、北海ブレント原油先物の上昇率30%(29日終値は1バレル=94.29ドル)を追い抜いている。

ホルムズ海峡の封鎖によって、世界の原油の少なくとも10%、LNGの約5分の1が市場から遮断されたことで利益を得ている輸出国の中には、もっと規模の大きい国もある。

オマーンはホルムズ海峡が自国の領海にあるが、輸出ルートは海峡を経由していないため、紛争の影響をほとんど受けていない。

ケプラーによると、オマーンの5月の原油輸出は、昨年10月以来の最高となる3158万バレルに、石油製品輸出は過去最高の1739万バレルに、それぞれ達する見通しだ。

また5月のLNG輸出は100万トンと、前月の109万トンからはわずかに減少するが、昨年5月の83万トンを上回るとみられている。

<アフリカ、中南米>

アフリカの産油国も恩恵を受けている。産出する原油の多くが、戦争によって市場から失われた原油と性質が近い中質油であるだけに、なおさらだ。

アンゴラの5月の原油輸出は3186万バレルと、前月の2912万バレルから増加するが、過去1年間で最高だった昨年5月の3756万バレルには及ばない見通しだ。

同国の5月のLNG輸出は42万トンと、安定した水準を保つとみられる。

ガボンの原油輸出は5月に728万バレルに達し、昨年9月以来の最高を記録する見通し。3月以降、買い手の構成がアジアへと大きくシフトしている。

中南米の石油輸出国も、この好機に便乗している。アルゼンチンの5月の原油輸出は2月の2倍以上に膨らみ、過去最高の989万バレルに達した。

アルゼンチンによるアジア向け原油輸出は、昨年第4・四半期にはわずか70万バレルだったが、今年3―5月の3カ月間は721万バレルに膨らんだ。

このほか、勝者リストに名を連ねるのはガイアナ、ナイジェリア、アルジェリア、マレーシアなどだ。

これらの国々に共通する特徴は、原油だけでなく石油製品も輸出しているか、少なくとも精製燃料を国内で自給自足できている点だ。一部の国はLNG生産国であるという追加の得点もある。

さらに、これらの国の一部は大規模な農業部門を抱えており、このことが肥料や軽油といった投入コストの上昇による食品インフレから身を守るのに役立つだろう。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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