Miho Uranaka
[東京 29日 ロイター] - 野村ホールディングスの奥田健太郎社長は29日の投資家向け説明会後のメディアとの質疑応答で、今年実施した経営体制の見直しについて「2030年度に向けた新たな経営目標を実現するための布陣」と説明、各事業の成長戦略の実行を加速するほか、次世代の経営人材を育成する狙いがあると語った。
同氏はまた、今回引き上げた経営目標について「大規模な(合併・買収などによる)インオーガニック成長は考慮していない。既存の部門、既存ビジネスの成長だけで十分実現できる水準だ」との見方を示した。
同社は前日、2031年3月期の税前利益目標を7500億円超へ引き上げると発表。従来は5000億円超としていた。自己資本利益率(ROE)の目標も「8─10%プラス」から「10─12%プラス」へ上方修正した。
4月の経営体制刷新ではウェルス・マネジメント(WM)部門長に戸張彰人氏、バンキング部門長に杉山剛氏、インベストメント・マネジメント(IM)部門長に小池広靖氏をそれぞれ起用。奥田氏は「これまでの延長線上ではなく、さらなる進化に向けた明確なメッセージを発信した」とし、収益拡大や部門間シナジーの強化を担う新たな体制の重要性を強調した。
戸張氏について奥田社長は、従来の対面営業に加えて近年成長が続くデジタル領域にも精通している点を評価、WM部門の生産性向上と顧客基盤の拡大加速に期待を示した。杉山氏についてはWM部門などで「これまでパフォーマンスを出してきたリーダー」として新しい事業を引っ張ってもらう狙いがあると語った。個人・法人・資産運用に次ぐ第4の柱として野村信託銀行を中心に新設されたバンキング部門では、コンプライアンスや財務などの体制整備が進んだことから、事業の拡大に軸足を移す。
IM部門では、野村アセットマネジメント(NAM)の社長にJPモルガン・アセット・マネジメント元社長の大越昇一氏を起用する一方、小池氏には海外の成長を託した。同部門は運用資産残高(AUM)180兆円、税引き前利益1500億円を新たな目標として掲げている。
奥田氏は「早い段階で若い経営者に経営経験を積んでもらう仕組みを作りたい」と述べ、グループ横断で次世代経営人材を育成していく考えを示した。従来のように持ち株会社から子会社へ幹部を派遣するだけでなく「信頼できるリーダーをグループ会社に送り、経験を積んだ人がホールディングスに戻ってくる流れを作りたい」と説明した。