Bo Erickson

[ワシントン 26日 ロイター] - トランプ米大統領は、バイデン前大統領に敗れた2020年大統領選が盗まれたとする虚偽の主張を過去6カ月で少なくとも107回繰り返した。イランとの戦争や11月の中間選挙を巡り新たな政治的リスクに直面しながらも、この不満を引き続き前面に押し出している。

ロイターがトランプ氏の公的行事、インタビュー、オンライン投稿を点検したところ、同氏はほぼ毎日この問題に関心を向けていることが分かった。発言はしばしば集中的に行われ、4月のある土曜日には、イランとの停戦のさなかに自身の交流サイト(SNS)に7回投稿した。

少なくとも6回の外国政府首脳との会談、2回のプロスポーツチームの祝賀行事、ホワイトハウスでのユダヤ教の祭り「ハヌカ」とクリスマスの行事で自らの主張を蒸し返した。1月にスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)では、原稿にない発言で「人々は自分たちがしたことについて、近く訴追されることになる」と述べた。

同氏は先週、議員向けにホワイトハウスで開かれた親睦行事で、選挙が不正操作されたと改めて主張し、さらに大統領専用機(エアフォースワン)に搭乗する前に記者団に語った際にも同じ主張を繰り返した。

「イエス・キリストが降臨して票を数えていれば、私はカリフォルニアでも勝っていただろう」と語った。同州は民主党の強固な地盤として知られ、トランプ氏は20年の大統領選では29ポイント差、24年には20ポイント超の差で敗れている。「あれは不正な投票だ」と訴えた。

トランプ氏のこうした発言は受け流されたり、負け惜しみのたわ言として退けられたりすることが多い。しかし、ホワイトハウス当局者と関係筋によると、トランプ氏が20年の大統領選に執拗にこだわるのは、新たな投票制限を正当化し、共和党への忠誠を強め、中間選挙を前に支持者を奮い立たせる狙いがあり、将来を見据えた戦略だという。

複数の選挙専門家によると、同氏は20年大統領選を不当なものと位置付けることで、共和党が選挙で敗北し民主党が主導権を奪還した場合にその正当性を損なう地ならしも進めている。

無党派の民主主義擁護団体「プロテクト・デモクラシー」の選挙専門家、アレクサンドラ・チャンドラー氏は「トランプ氏は過去を振り返っているのではない。これは中間選挙に関するものだ」と指摘。「これによって偽情報の霧を作り出そうとしている。そうすれば、連邦政府による介入を強めても、世論は驚きをもって反応しなくなる」と語った。

<共和党有権者、虚偽主張に同調>

トランプ氏のレトリックは共和党有権者の間で浸透している。4月のロイター/イプソス調査では、共和党支持者の63%が選挙は盗まれたとするトランプ氏の虚偽の主張を信じていることが分かった。この割合は近年、ほぼ変わっていない。さらに共和党支持者の82%が米国の選挙で非市民による不正投票が大量に行われているとの見方に同意すると回答した。

これに対し、トランプ氏が不正行為のため敗北したと信じていると答えた民主党支持者は9%、無党派層は21%にとどまった。また非市民による不正投票を懸念するのは民主党支持者の18%、無党派層は38%だった。

複数の裁判所、州当局者、過去の調査では20年大統領選で大規模な不正があった証拠は見つからなかった。

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