Noel Randewich

[26日 ロイター] - ウォール街(米金融業界)は来月見込まれる米実業家イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXの上場の話題でにぎやかだが、近年行われた大規模な新規株式公開(IPO)のうち、上場時に株式を購入した投資家に相応の利益をもたらしたものはそれほど多くない。

過去5年間で最も高い評価額となった50件のIPOについてロイターが分析したところ、約4分の3のケースではS&P500指数ファンドを購入した方がより良いリターンを得られたことが分かった。このデータは株式上場のかなり前から評価額が急騰している企業の中から割安株を見つけることの難しさを浮き彫りにしている。

ロイターが分析した各IPO銘柄を購入した投資家の平均リターンは21日時点で27%のプラス。これに対し、同期間におけるS&P500の平均リターンは53%だった。この分析では投資家がIPO価格(個人投資家には通常不可能)で株式を購入できたと仮定している。

分析によると、上場初日の熱狂のさなかに株式購入した投資家の歴史的リターンはさらに悪い結果となっている。

トリプルDトレーディングのトレーダー、デニス・ディック氏は「つまりIPO前に購入しない限り、利益を上げるのは難しい」と述べた。

<1兆7500億ドル>

スペースXは早ければ6月11日にも株式売却を行う可能性がある。創業者のマスク氏はロビンフッドやSoFiなどの取引プラットフォームを通じて個人投資家向けに一部の株式を割り当てており、これにより個人投資家はより低い価格で株式を購入できるようになる。

スペースXの想定IPO評価額は1兆7500億ドル。

IPOを研究するフロリダ大学のジェイ・リッター教授は、長期的には上場企業の多くがS&P500指数を下回るパフォーマンスとなる一方で、株価売上高倍率(P/S倍率)で測定した際、特に高い評価額を持つ企業ほど、最悪の結果に終わる傾向があると述べた。

時価総額1兆7500億ドルとすれば、スペースXのP/S倍率は100倍近くになる見込みだ。これに対し、人工知能(AI)半導体大手エヌビディアは24倍だ。また、スペースXは昨年、約50億ドルの損失を出した。

リッター氏は「投資家が極めて高いP/S倍率を喜んで支払うような企業は、いずれも将来が極めて明るいという説得力のあるストーリーを持っている。しかし、ご存知の通り、事態は思わぬ方向に進む可能性もある」と語った。

<良い面、悪い面、そして不格好な面>

分析対象となったIPOの中では、AI関連半導体設計会社であるアステラ・ラブズとアーム・ホールディングスが最大の勝ち組となっている。アステラは2024年のIPO以来700%以上、アームは23年の上場以来約400%急騰した。両社のパフォーマンスはS&P500指数を上回っている。

一方、近年の最も大きな失望の一つは中国の配車大手ディディ・グローバルだ。22年にニューヨーク証券取引所から上場廃止となった同社はその前年、大幅なオーバーサブスクリプション(申込超過)を記録していた。現在は店頭市場で取引されている同社の株価はIPO価格の14ドルから約74%下落している。

最も注目された新規上場企業でさえ、出遅れることがある。今回の分析対象には含まれていない中国の電子商取引企業アリババは、評価額で史上最大の米IPO記録を保持している。「中国のアマゾン」と称される同社の株価は、14年のウォール街上場以来2倍に上昇したが、その間S&P500指数は300%以上の上昇率を記録している。

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