高級ファッション店や高級車のショールームで、「ビーガンレザー」という言葉は品質の高さを強く印象付ける。動物の皮を使わずに、本革そっくりの見た目と感触を約束するからだ。
皮革から距離を置くブランドが増えるなか、「ビーガン」という言葉は動物に優しく、かつ地球にも優しいことを示唆するようになった。だが、現実はもっと複雑だ。
一口にビーガンレザーといっても、そこにはプラスチックのコーティング剤から植物由来の裏布まで、さまざまな素材が使われている。環境に優しいという漠然とした主張に規制当局が疑問を投げかけ始めたのはそのためだ。
本革に代わる素材に注目が集まる理由は十分理解できる。動物福祉や気候変動、森林破壊への懸念から、消費者もブランドもビーガンレザーのほうがいいと考えるようになった。だが、その耐久性や最終的な処分にまで目が向けられることはあまりない。
ほとんどのビーガンレザーは、裏布にポリウレタンか塩化ビニール樹脂のコーティングをしていて、防水性があり、エンボス加工も簡単だ。
最近はパイナップルやキノコやリンゴ、ブドウ、さらにはサボテンを原料としたビーガンレザーが開発されている。だが、植物由来だからといって環境に優しいとは限らない。
例えば「パイナップルレザー」の靴は植物繊維を使用しているが、通常はプラスチック樹脂によって耐久性を高められているため、オーストラリアではリサイクルできない混合素材に分類される。また、ビーガンレザーの多くは本革よりも劣化が早く、修理も難しい。
製品のライフサイクル全体にも目を向けるべき
キノコやリンゴの繊維を使った鞄は、裏布にプラスチック材料を使っているため堆肥化できず、本革よりもずっと早く廃棄される。植物由来で、寿命がわずか2年のものもあると報告されている。
ブランドが「ビーガン」という言葉を使って環境負荷の低さをアピールするなら、その製品のライフサイクル全体にも目を向けるべきだ。
オーストラリア政府の研究機関である生産性委員会が今年1月に発表した循環型経済に関する調査の報告書は、リサイクルできない製品の問題を強調している。
「責任ある製品管理」がもっと広がれば、製品の耐久性やリサイクル可能性、そして寿命を迎えた後の処分が、動物福祉と同じくらい重要になるだろう。
もちろん本革に問題がないわけではない。家畜は地球温暖化につながるメタンを排出するし、なめし工程では有毒な化学物質が使われる。多くの消費者にとって、動物由来の素材を避けることは今も重要な倫理的選択だ。
だが、「ビーガン」と「サステナブル」は違う。動物由来素材を使っていなくても、数年で使えなくなってしまうようならサステナブルとは言えない。
ビーガン製品をサステナブルにするには、設計から見直す必要がある。ある商品が本当にサステナブルかどうかは品質表示ではなく、使用年数で決まるのだから。
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Caroline Swee Lin Tan, Associate Professor in Fashion Entrepreneurship, RMIT University
Saniyat Islam, Associate Professor, Fashion and Textiles, RMIT University
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.