貴金属類の輸出は規制されているが、反政府勢力は取引に熱心だ。「誰かがビジネスをやりたいと言ってきたら、拒否するわけにはいかない」と、アラワドは言う。
この種のロシア系企業は、ロシアのシリア介入でも稼いでいる。ワーグナーのフロント企業とみられるエブロポリスは、テロ組織ISIS(自称イスラム国)から奪った油田・ガス田から出る利益を傭兵たちに分配している。同社はプーチンの側近でもあるサンクトペテルブルクの起業家エフゲニー・プリゴジンの影響下にある。
シリアと中央アフリカは、ロシアを通じて思いのほか深くつながっている可能性がある。ロシア政府がアサド政権から借り受けた空軍基地では、ロシアの輸送機がシリアからスーダン経由で中央アフリカへ貨物と人員を運んでいるようだ。
中央アフリカの大統領報道官は、鉱物資源に関するロシア側との正式な契約はないと主張する。しかしロシア外務省は「鉱物資源探査における提携の大きな可能性」を強調している。
ロシア側は隠された意図などないと主張するが、反政府勢力は警戒心を強めている。「プーチンはアフリカのどこかに足場が欲しいのだ。ここには多くの資源がある」と、アラワドは言う。「彼は信用できない。われわれは第2のシリアにはなりたくない」
<本誌2018年11月06日号掲載>
鉄道黄金期を迎えたヨーロッパを旅する――コリン・ジョイス(ジャーナリスト)/豪快かつ特異なアメリカ大陸鉄道史/膨張する中国鉄路の野望/「夢の超特急」リニアの現実/韓国、アフリカ、インド……世界を駆ける鉄道新事情