Ross Kerber

[ボストン 13日 ロイター] - 新規株式公開(IPO)を予定する、イーロン・マスク氏の宇宙開発企業スペースXについて、米公的年金システム上位4基金のうちの3つのトップが、「極端な」所有・支配体制に懸念を示し是正を要求したことが分かった。マスク氏宛ての書簡の内容をロイターが確認した。

ニューヨーク州のディナポリ会計監査官、ニューヨーク市のレビン会計監査官、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)のマーシー・フロスト最高経営責任者(CEO)が13日に送付した書簡は「スペースXが登録届出書で開示を計画していると報じられている、前例のない極端なガバナンス構造と規定に対する重大な懸念を表明する」としている。

3氏は、マスク氏に付与される権限として、スーパー議決権株による議決権支配、CEOであるマスク氏の解任動議に自らが拒否権を持つこと、株主が集団で訴訟を起こす手段を事実上封じる強制仲裁など訴訟を回避する仕組みの導入を問題視した。スペースXが法人登記先をテキサス州に移したことにより、株主代表訴訟を起こすには、同州法に基づき発行済株式の3%を保有している必要があり、この条件を満たすのは事実上マスク氏しかないと指摘。「長期株主には独立した取締役の過半数も、機能する株主代表訴訟の救済措置も、この役割の集中が不可避的に生み出す利益相反に対処するための真の司法審査を受ける権利もない」と主張した。マスク氏がテスラ、X、xAI、ボーリング・カンパニー、ニューラリンクのトップを兼任し、さらにスペースXとテスラで複数年の巨額報酬パッケージが付与されていることから、スペースXとテスラはマスク氏の時間と関心を「実質的に奪い合う異例の立場」に置かれているとした。またスペースXによるxAI買収、テスラからスペースXへの投資が、上場前、独立委員会のプロセスが確立する前に完了したことを挙げ、関係社間の取引に懸念を示した。

これを踏まえて是正措置を要求。具体的には、1株1議決権の採用またはスーパー議決権株の7年以内のサンセット条項(消滅条項)設定、取締役会の過半数を社外取締役で構成、CEO職と会長職の分離、マスク氏の同意なしにCEOを解任できない条項や強制仲裁条項の削除、マスク氏関係社間取引に対する独立承認プロセスの義務付けを求めた。またマスク氏およびアドバイザーに懸念事項を協議する機会を設けるよう要請した。

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