ただ、SNS上の投稿にはより悪質な意図も潜んでいる。
「政治的、思想的、あるいは金銭的な目的がある。単に注目を浴びたい、あるいは混乱を招きたいだけというケースもある」とストーンは指摘する。
特にXでは、2023年からインプレッションに応じて収益が得られる仕組みが導入されたことで、拡散されやすい誤情報を投稿する動機が強まっている。
「SNSはどんなウイルスよりも速く広がる。一度間違ったストーリーが定着してしまうと、それを覆すのは至難の業だ」とアダムズは言う。
シュライムによれば、クルーズ船のニュースが報じられてからわずか48時間で、誤情報は「蔓延」したという。SNS上には、少し調べれば否定できるような明白な嘘が溢れかえった。
深刻なのは、専門家に対する人々の不信感だ。アダムズは5月8日、CDC(米疾病対策センター)やWHO(世界保健機関)の見解に基づき、Xで「現時点でハンタウイルスについてパニックに陥る必要はない」と投稿した。
すると、「ひどいアドバイスだ」「無責任な投稿だ」といった非難の言葉が返ってきた。「パニックにはなっていないが、ウイルスに関してお前の言うことなど二度と聞かない」というコメントもあった。
ジャーナリストで『Bad Influence: How the Internet Hijacked Our Health』の著者でもあるデボラ・コーエンは、新型コロナウイルスのパンデミックの際に、公的機関の「コミュニケーションの不手際」や科学的な証拠を実際よりも確実なものとして提示したことが信頼失墜を招いたと指摘する。「一度失った信頼を再構築するのは極めて困難だ」
信頼が崩れた場所には陰謀論が入り込みやすく、メディアによる過度な報道も、必要以上の恐怖心を植え付け、結果として「隠された意図があるのではないか」という疑念の温床になるとコーエンは言う。
「冷静で、誇張のない、透明性の高いコミュニケーションが今、かつてないほど求められている」
剛腕首相ネタニヤフが図ったアラブとイランの弱体化で、中東に訪れる新時代