フィリピン政府は4月29日、米軍の中距離ミサイルシステム「ミッドレンジ・ケイパビリティ(MRC、通称タイフォン)」の試験発射がフィリピン国内で実施されたことを確認した。中国が注視する軍事演習の最中に行われたもので、東南アジアの同国でタイフォンが発射されたのは初めて。
米陸軍は2024年4月、合同訓練に先立ってタイフォンをフィリピンに配備した。中国との緊張が高まる中、米比両国が進める防衛協力強化の一環だった。今回、この発射システムが実際に使用されたことが初めて確認された。
フィリピンの放送局ABS-CBNによると、現在実施中の合同軍事演習「バリカタン」の報道官を務めるデニス・ヘルナンデス大佐は電話取材に応え、マニラの南東にあるビサヤ地方・レイテ島のタクロバン空港に配備されたタイフォンから発射されたトマホーク巡航ミサイルは、北西約630キロ先にあるルソン地方のフォート・マグサイサイに命中したと説明した。
【マップ】フィリピン配備のトマホークを中国が恐れる理由
射程1600キロ超のトマホークは中国東部沿岸の大部分を射程に収める可能性がある。一方、タイフォンから発射可能な超音速ミサイルSM-6(射程約470キロ)は、南シナ海の人工島周辺や、台湾有事の際にルソン島周辺で活動する中国軍の航空機・艦艇への対処を想定しているとみられる。
中国はこれまで繰り返し、米国に対してフィリピンから中距離ミサイルシステムを撤去するよう要求してきた。
フィリピン政府は、この配備は特定の第三国を標的としたものではないとしており、米国から追加配備を受ける可能性についても検討中と説明している。