格安ドローン対高級ミサイル
さらに、アメリカが今回の軍事衝突を維持する経済的コストは極めて高い。イランの自爆ドローン(無人機)「シャヘド」は数万ドルで製造できるのに対し、迎撃するアメリカの防空ミサイルは有効性を維持するだけで数百万ドルかかる。全てを迎撃できなければ、被害は最大で5億ドル規模に達するともみられる。
もっとも株式市場は、トランプが数週間のうちに何らかの形で停戦に持ち込むとみているようだ。米市場は最高値を更新しており、欧州で航空燃料が底を突く、原油価格が1バレル=200ドルに達するといった悲観的な予測を振り払っている。
表面的には、アメリカとイランが持続的な合意に達することはほぼ不可能に思える。そもそも今回の戦争は、イランの核開発をめぐる両国の交渉の最中に始まった。イランは2015年に米英独仏中ロの6カ国と合意に署名したものの、18年に新しい米政権(つまりトランプ)が一方的に離脱した。
それでも期待できる2つの事実がある。まず、トランプが実際には勝利していなくても勝利を宣言したがること。そして、イランにもジャバド・ザリフ元外相のように現実主義的な穏健派が存在することだ。この2つがうまく結び付けば事態が動くかもしれない。
あるいは、最終的に鍵を握るのは2人の真逆のプリンス、米メディア界のジョー・ローガンとサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子かもしれない。
保守系ポッドキャストを運営するローガンは、24年の米大統領選でトランプの支持拡大に貢献したが、開戦後はトランプの決断を批判している。米メディアで大きな影響力を持つローガンの動向は、中間選挙で政治にあまり関心がない層の動きを占う材料になりそうだ。
一方、サウジアラビアはこの戦争の最大の受益者の1つとされている。長年イランの代理勢力の脅威にさらされてきた同国は、イラン指導部の排除を支持し、その軍事力が壊滅することを期待していたが、アメリカによる海峡封鎖には反対している。
アメリカのメディア王子とサウジアラビア皇太子の支持を失いかけていることは、アメリカの軍事作戦が終わる兆候なのかもしれない。