なぜガソリン価格が4割高に
最も一般的な説明は、石油は国際市場で取引されており、供給が逼迫すれば価格が上昇する。そして、いかに石油大国であっても、アメリカもその影響を避けられない、というものだ。だが、問題の核心はほかにある。アメリカは原油精製能力に構造的な問題を抱えており、各製油所の精製能力に合ったタイプの原油を輸入しなければならないのだ。
例えば、アメリカ産原油の多くは軽質だが、国内の製油所の多くはサウジアラビア産などの重質原油を精製するように設計されている。こうしたギャップは、季節要因によって一段と悪化する。春から夏向けのブレンドに移行するときは、外国から輸入する原油を増やす必要がある。
また、ガソリンスタンドの店頭価格は、在庫補充コストに基づき決まるため、仕入れコストが急上昇すると、ほぼすぐに店頭価格に反映される。世界の石油の20%が、そして液化天然ガスの場合はさらに多くの割合がホルムズ海峡で足止めされるなか、戦争が続けば、ガソリン価格上昇の影響はもっと広がるだろう。
イランのプロパガンダも、戦争コストに対するアメリカの有権者の不満を狙い撃ちしている。最近、拡散されているAIが生成したレゴ・ブロック風の動画は、トランプや側近をあからさまに挑発する。コメント欄をのぞいてみるとアメリカからの支持や称賛が目につく。
「Blockade, Blockade」という動画では「簡単だと思っていた/だがMAGAもメラニアも去る/降伏は受け入れない」といった歌詞があり、「Hormuz Hustle」では「ガソリン価格は上昇し同盟国は混乱/こちらは笑って見ているだけ」と歌う。
アメリカでは戦争に対する不支持が圧倒的に多い。民間人が攻撃される大規模なテロのような外的ショックが起きない限り、不支持は広がり続けるだろう。
現在、60%以上のアメリカ人がイランとの戦争に強く反対し、66%が早期終結を望んでいる。地上軍投入には74%が反対している。民主党支持者の90%が戦争に反対、共和党支持者の71%が支持しており党派間の溝は相変わらず大きいが、無党派層は憲法改正に必要なレベルに近い割合で戦争に否定的だ。