この理論を実証するため、研究チームは独身者を対象に3つの調査を実施。それぞれ内容を操作して自分を物語形式で表現したプロフィールと、非物語形式で表現したプロフィールを見てもらった。

その後、その人物に対する好感度と、恋愛関係を築きたいと思う程度をランク付けしてもらったところ、いずれの調査でも、物語形式のプロフィールの方が非物語形式のプロフィールよりも評価が高かった。参加者は、物語を通じて自分の経験を共有した人物の方が好感度が高く、その感情を通じて恋愛相手としての関心が高まったと報告した。

物語を語ることと魅力との関係を共感が媒介していることは、統計分析にも表れている。つまり、物語り形式のプロフィールの方が成功率が高い理由はそこにある。

これはマーケティング心理学の研究結果とも一致する。マーケティング心理学では、物語によって感情移入を促すことで、消費者が購買意欲をそそられることが分かっている。マッチングもそれと同じで、共感が動機となって、相手とつながって関係を築きたいと思わせると研究者は解説する。

ただし大切なのは、物語に誇張や作り話はいらないという点だ。日常生活の中の瞬間を生き生きとした経験として切り取ることで、単純に関心事を箇条書きにするよりもずっと、プロフィールの魅力は高まる。

「物語はプロフィールに人間味を持たせて真摯な感情移入を促すことで、人をモノ扱いするマッチングアプリの性質に対抗できる」。バーンバウムはそう解説している。

「物語は相手を単なる商品ではなく同じ人間と思わせるきっかけとなり、そうでなければ突き放されたマッチングアプリという媒体の中で、つながっている感を与えてくれる」

参考文献

Birnbaum, G. E., & Zholtack, K. (2026). Once upon a swipe: The impact of storytelling on dating profile appeal. Psychology of Popular Media. https://doi.org/10.1037/ppm0000661

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