性別の違いは、「死因」の違いにもあらわれる
一方、女性のご遺体で多くみられる死因は、高齢者の場合、心疾患や脳血管疾患、熱中症や低体温症です。若い女性になると、薬物中毒やアルコール中毒が多い印象があります。
女性ホルモンは動脈硬化抑制物質でもありますから、男性に比べると女性の動脈硬化はそれほど進んでいません。ただ、閉経後に女性ホルモンが減るため、動脈硬化が急激に進むことがあります。そのため、60代後半ぐらいから動脈硬化に起因する病気によって亡くなる方が増えていると感じます。
男性と女性では異なる臓器を持っていることから、性別に特有の病気もあります。
男性だと、前立腺がんがその代表です。前立腺がんは無症状で進行するため、なかなか気づかず、病院を受診しないまま亡くなるケースもあります。また、前立腺肥大という良性の腫瘍が尿道を圧迫することによって排尿障害が起こり、その結果、腎臓の機能が低下して腎不全になって亡くなるケースもあります。
女性の場合は乳がんや子宮頸がん、子宮体がん、卵巣の腫瘍で亡くなるケースをみます。家事が忙しい、あるいは病院でみてもらうのが恥ずかしいといった理由で受診をしないまま亡くなる方が法医学者のもとに運ばれてきます。
無症状の病気もありますので、定期的な健康診断を欠かさないこと、違和感があったらすぐ病院でみてもらうことを意識していただければと思います。
そして、日々の体調の変化にすぐに対応するために、著者がもう一つ強く勧めることがある。
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