精子の数と質の間に最適バランスが存在する
「精子が受けた悪影響が必ずしも、受精率への悪影響と結び付かないことにはいくつか理由がある」と、研究執筆者の1人で、生物学者のクリシュ・サングビは本誌に語る。
「その1つとして、質の低い精子は寿命がより短い可能性がある。禁欲によってDNA損傷が増加したり、運動率が低下した精子は単に、受精に至る前の段階で死んでいるのかもしれない」
一方、動物対象研究では、受精率や胚の質の低下との関連が認められ、長期的な生物学的影響の可能性を浮き彫りにしている。サングビによると、動物の場合、精子貯蔵が受精率に直接的影響を与えることはより確実だ。
今回の結果は注意深く解釈するべきだと、研究は強調している。精子の質は長期の貯蔵で低下するが、人間の場合、全般的影響は統計学的に「有意だが、わずか」だという。
精子の量は禁欲によって増えることも知られており、精子の数と質の間に最適バランスが存在する可能性がある。
理想的タイミングは目的次第だと、研究は指摘する。より長く禁欲すれば、精子の数は増えても質が低下しかねない。
体外受精で精子サンプル全体を使用する場合は、中程度の禁欲期間が数と質のバランスを取るのに役立つはずだ。良好な状態の精子を1つ選んで卵子に注入する顕微授精などでは、より短期のほうが望ましいだろう。
次のページ