Kentaro Sugiyama Takahiko Wada

[東京 1日 ロイター] - 日銀が1日に発表した3月短観は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス17と、4期連続で改善した。大企業・非製造業の業況判断DIはプラス36と、前回から横ばいとなった。12月短観ではほぼ横ばいだった企業の物価見通しは小幅に引き上げられ、販売価格見通しも上方修正となった。⁠原油価格の高騰で仕入れコストがかさむ中でも、引き続き価格転嫁に取り組む姿勢が示された。

<中東情勢の影響は完全には織り込まれず>

調査期間は2月26日から3月31日。回収基準日の3月12日までに約7割程度が回答した。米国とイスラエルがイランを攻撃したのは2月28日。日銀の担当者は「多くの調査先が中東情勢の悪化以降に回答してきたが、それが完全に織り込まれていることを意味するものではない」と述べた。中東情勢の影響は、最近⁠の判断よりも先行きのところで多く聞かれているという。

大企業・製造業の業況判断DIは2021年12月以来の高水準。前回12月調査から1ポイント改善した。改善した業種からは、AI・半導体関連需要の増加や価格転嫁の進展などの声⁠が聞かれた。悪化した業種では、化学や石油・石炭製品などが中東情勢の悪化を指摘した。

大企業・製造業の先行き判断DIはプラス14で、3ポイントの悪化を見込む。コスト上昇による収益悪化が幅広い業種から聞かれたほか、窯業・土石、電気機械、自動車などが中東情勢悪化の影響を上げた。

大企業・非製造業で業況が改善した業種からは、価格転嫁の進展を上げる声が聞かれたほか、不動産市場が好調という声が不動産、物品賃貸などから上がった。悪化を指摘した業種からは、人件費や原材料費など仕入れコストの上昇が理由に上げら⁠れた。中東情勢など海外情勢の悪化を上げる声が、運輸・郵便や対事業所サービスなどで聞かれた。

大企業・非製造業の先行き判断DIはプラス29と、7ポイントの悪化を見込む。コスト上昇や中東情勢の悪化を上げる声⁠が幅広い⁠業種から聞かれた。

ロイターが集計した民間調査機関の予測によると、業況判断DIの予測中央値は、大企業・製造業がプラス16、大企業・非製造業はプラス33だった。

事業計画の前提となる想定為替レート(全規模・全産業)は、26年度通期で1ドル=150.10円となった。25年度(148.29円)から円安方向の設定となっている。

企業の設備投資計画では、大企業・全産業の26年度の計画が前年度比3.3%増と、民間調査機関の予測3.0%増を上回った。

一方、0.75%への利上げの影響が注目された企業金融の調査項目では、全規模・全産業の資金繰り判断DI(「楽である」-「苦しい」)がプラス10で前回と変わらず。金融機関の貸出態度判断DI(「緩い」-「厳し⁠い」)は前回比1ポイント低下のプラス13となったが、ともに大幅なプラス圏を維持した。

<物価見通しは上方修正、企業の価格転嫁姿勢も継続>

企業の物価見通し(全規模・全産業)は前回から小幅に上方シフトした。1年後は前年比プラス2.6%(前回はプラス2.4%)、3年後と5年後はともにプラス2.5%(前回はともにプラス2.4%)となり、3年後と5年後はいずれも14年以降で過去最高となった。販売価格見通しは物価見通し以上に上方修正された。

仕入れ価格判断DI、販売価格判断DIも前回を上回った。原油価格の上昇などで仕入れ価格判断DIの引き上げ幅の方が大きかったが、先行きにわたって価格に転嫁していく姿勢が示された。

仕入れ価格判断DIは、大企業・製造業が6ポイント上昇のプラス46、大企業・非製造業が4ポイント上昇のプラス46。先行きは製造業でプラス52、非製造業でプラス53と現状判断を上回った。

販売価⁠格判断DIは、大企業・製造業が2ポイント上昇のプラス28、大企業・非製造業が1ポイント上昇のプラス32。先行きは大企業・製造業でプラス33、大企業・非製造業でプラス40。

大企業では素材産業を中心に販売価格判断が上がったが、日銀の担当者は「円安や非鉄金属の市況の上昇などを反映している面があり、必ずしも原油価格の上昇が効いているとの声は多くなかった」と指摘した。一方で、仕入れ価格判断については「中東情勢の悪化による原油価格の上昇も影響している」とし、「今期は仕入れ価格の上昇が相対的に大きく、交易条件はやや悪化したイメージだが、先行きは価格転嫁を指摘する声もある」と述べた。

*日銀のホームページは

https://www.boj.or.jp/en/statistics/tk/gaiyo/2026/tka2603.pdf

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