イスラエル軍内でも宗教関係の動きが
イスラエル軍内の動きも見逃せない。
仏紙『ル・モンド』の調査報道によれば、厳格な超正統派ユダヤ教徒ハレーディームの影響力が軍内部で急速に拡大しているという。彼らは「トーラー(ユダヤ教の律法)をイスラエル全土に適用すべきだ」と主張し、その「イスラエルの地」にはパレスチナ地域だけでなく、シナイ半島やヨルダンの一部も含まれると見る。
現在、この一派はイスラエル政府の意思決定にかつてないほどの影響力を持ち、一部の支持者たちは、ネタニヤフを「時代を転換するために神が用いている『待望のメシア』」に据え始めている。
こうした宗教に染まった政治環境の中で、トランプとネタニヤフにとって「自己の栄光」を追い求めることは、きわめて重要な動機となっている。両者の最も熱心な支持基盤の一部は、彼らを「預言者」や「神の兵士」と祭り上げている。その期待に応える形で、二人がとるあらゆる行動は「救済」や「メシア到来」の物語と結びついて理解されるようになっている。
ネタニヤフは、2023年10月7日の「トファン・アルアクサ」作戦以降、ガタガタになった自らのイメージを、対イラン戦争の成功によって立て直すことを狙っている。イランは、多くのイスラエル人にとって、1979年のイスラム革命以来、最大かつ最も危険な脅威だ。ネタニヤフは「イランからの脅威を抑止し得る唯一の指導者」であるという物語を改めて売り込もうとしているのだ。
トランプにとっても、対イラン戦争は自身に近い側近グループを満足させるだけでなく、長年「終末の戦争」を待ち望んできた福音派支持層の渇望を満たすものである。同時に、自らの名を歴史に刻み込みたいと考えている。米誌「アトランティック」によると、トランプには世界を「作り替える」ことへの強い個人的欲求がある。自分こそが「かつての大統領たちが口にするだけで、実行に踏み切れなかったことを成し遂げる勇気を持つ最初の大統領だ」とみなしているのだ。
冷戦でソ連に勝利したロナルド・レーガン、中国との国交正常化を実現したリチャード・ニクソン、エジプトとイスラエルの平和条約(キャンプ・デービッド合意)をまとめ上げたジミー・カーター......。イランをはじめ、長年アメリカに敵対してきた体制を変革し、彼らをも凌ぐ「偉大な遺産」を残したいという野心こそが、トランプにとっての宗教的動機と並ぶ重要な推進力になっているのである。
