NECは宇宙関連技術にも強みを持ちます。直近では、日本初となる光通信衛星コンステレーション(低軌道衛星群による光レーザー通信網)の実証衛星の設計を完了しました。有事の際、無線通信が妨害された場合でも、衛星通信を介したやりとりでタンカーや護衛艦との通信を維持することができます。

また、海上の状況把握にも人工衛星が用いられることから、宇宙からのバックアップも、タンカーの防衛力強化にとって不可欠といえるでしょう。半世紀以上にわたり、約80機の人工衛星の開発・運用に携わってきた豊富な実績は、NECの大きな強みとなります。

業績拡大から株価再評価に向けて

業績も拡大傾向で、1月には2026年3月期の連結業績予想を上方修正しました。売上収益は前期比4%増、純利益は15%増という増収増益を見込んでいます。防衛向けの通信システムのほか、国内向けのITサービスも好調に推移していることが背景にあります。

防衛事業では、野外通信システムやミサイル防衛システム、サイバーセキュリティーなどを一元的に手がけており、実のところ、中東情勢が悪化する以前から国内の防衛力強化による受注増の波が続いているのです。国内のみならず、インド海軍やオーストラリア海軍など、同盟国・同志国に向けた防衛装備移転の流れでデュアルユース(軍民両用)製品の販路拡大も進んでいます。

NECや富士通といったソフトウェア関連株は、AIによってその役割が代替されるとの懸念から、株価は昨年秋から下落基調となっていました。しかしながら、防衛・宇宙などAIでの取り替えがきかない分野に注目が集まることで、今後再評価される余地は大きそうです。

NECの株価チャート

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[筆者]
佐々木達也(ささき・たつや)/証券アナリスト、金融ライター

金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。

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