ミュージカル『昭和元禄落語心中』で落語家・助六を演じた山崎育三郎
『昭和元禄落語心中』では落語家の苦悩や喜びを歌で表現 写真提供:梅田芸術劇場 / 研音

──日本では「なぜ突然歌い出すのか」などと、ミュージカルにハードルの高さを感じる人もいる。

そうした声や疑問は多く耳にしてきた。同世代の友達がなかなか見に来てくれなかったり(笑)。日本のエンタメ界でミュージカルは孤立していた。劇場街の日比谷や銀座周辺でだけ盛り上がっていて、一歩外に出れば世間の話題に上らない。

20代で『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『エリザベート』『モーツァルト!』の4つの大作への出演という子供の頃からの夢を実現し、今後は何をしようかと考えたときに、ミュージカルをもっと日本の皆さんに知ってほしいと思った。

そのためには自分がミュージカル界とメディアの架け橋になろうと、テレビへの挑戦を決意した。

──舞台とテレビの両立は難しかったのでは?

始めはミュージカル業界からも反対の声が多かった。成功例の先輩は数少なく、舞台のスケジュール的にも難しいし、注目される保証もない、うまくいかないと。

でもこの時も、皆が反対したり、自分が怖いと感じたりするところにしかチャンスは生まれないと思った。誰も見たことのない景色なら、自分が挑戦したい。30代はこれに賭けようと思った。

当時「プリンス枠」が意外に空いていて...