EUのリーダーたちは、こうした策謀を成功させてはならない。オルバンの動きによってどのような混乱が生まれようと、西バルカン諸国をEUに迎え入れることは、ヨーロッパの安全保障にとって極めて重要な意味を持っているからだ。

EUは、加盟国による妨害行為への対処法をもっと充実させる必要がある。EUの深化か拡大かの二者択一ではなく、深化と拡大が相互補完的に進むようにするべきだ。それに加えて、EU内での法の支配をいっそう徹底することも怠ってはならない。

オルバン政権はEUのレジリエンス(回復力)を高めるために何が必要かを浮き彫りにした。求められるのは象徴的な結束ではなく、制度や社会の弱点を力の源泉にしようとする勢力と対峙する政治的能力だ。

そのような勢力に、EUが地政学的に有効な行動を取る邪魔をさせてはならない。

©Project Syndicate

newsweekjp20260317052352.pngアダム・ベンツェ・バラージュ

ADAM BENCE BALAZS

独パッサウ大学の欧州政治学研究員、オーストリアの人間科学研究所(IWM)の客員研究員。専門領域は現代地政学で、ハンガリーのオルバン体制、西バルカン諸国の欧州統合などが研究対象。

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