日本企業に求められる現実的な危機管理
国際法の観点から見れば、米国やイスラエルによるイランへの先制的な軍事作戦、あるいは主権国家の指導者を標的とした殺害が、国連憲章の武力行使禁止原則に抵触し、国際秩序を揺るがす行為であることは自明である。しかし、海外に拠点を置く日本企業やその駐在員にとって、現時点で最も優先されるべきは社員の安全確保である。
テロリストの標的選定において、攻撃の対象となるのは必ずしも軍事施設ではない。イスラエル大使館や米国大使館のみならず、ユダヤ系の宗教施設、学校、あるいはスターバックスやマクドナルドといった、米国資本を象徴する商業施設なども反イスラエル・反米の象徴として狙われる可能性はある。今回の事態が長期化する可能性もあり、日本企業としては中東諸国に滞在する駐在員や出張者だけでなく、欧米やアジアに滞在する社員らに対しても、イスラエル権益や米国権益には近づかない、可能な限り避けるといった注意喚起を徹底する必要があろう。
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