<従来の火葬と比べて環境負荷が小さいとされている「アクアメーション(アルカリ加水分解葬)」。今回スコットランドで合法化されたこの葬送方法は、他にどんな国で合法化されているのか>

「遺体をどのように扱うか」は、宗教や社会的背景、科学技術、さらには故人のたっての希望など様々な要因が絡み合います。

「来世で復活するには肉体が必要」と考えられていた古代エジプトでは王族の遺体をミイラにして保存し、ヨーロッパではキリスト教信仰から現代でも土葬習慣が根強く残っています。近代日本では国土の狭さや公衆衛生の確保という観点から火葬率が99.9%を超えています。

近年、環境負荷が少ない新しい弔い方として注目を浴びているのが「アクアメーション(aquamation:アルカリ加水分解葬、水火葬)」です。1984年に南アフリカのアパルトヘイト問題解決に尽力した功績でノーベル平和賞を受賞したデズモンド・ムピロ・ツツ大主教が2021年に亡くなった際、葬送方法として選んだことで広く知られるようになりました。この度、イギリスの構成国であるスコットランドで政府が認める葬送方法の一つとして合法化されたことで、再度注目を集めています。

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生前のデズモンド・ムピロ・ツツ大主教(2004年) Public Domain

アクアメーションとはどのような葬送法なのでしょうか。どんな国で既に合法化されていて、日本でも近い将来に導入される可能性はあるのでしょうか。概観してみましょう。

最近開発された「新技術」ではない

アクアメーションとは、遺体を水とアルカリ薬品によって化学的に分解する技術です。

遺体は圧力容器に入れられ、その中に水と水酸化カリウム(苛性カリ)の混合液を満たします。水酸化カリウム水溶液は強アルカリ性で、タンパク質に対して強い腐食性を示します。この溶液を沸騰しないように圧力をかけつつ、約160℃で約4~6時間加熱します。すると、遺体はアルカリ溶液で煮込まれることになり、主に筋肉や臓器、脂肪などの有機成分が化学的に分解されます。

最終的に骨は残るので、乾燥させて粉砕し、遺灰として遺族に渡されます。対して、遺体の有機物が分解された溶液にはアミノ酸やミネラル成分が含まれています。高温高圧処理のため無菌状態であり、中和などの処理後に下水道に流されたり、肥料として活用したりできます。

元々の用途は?