さらに議論は、デビッドソン(およびBAFTAやBBC)が示した真摯な謝罪を、当の黒人俳優2人(およびイギリス中の黒人たち)が受け入れる義務があるのか、という点にも及んでいる。

観客やテレビカメラの前で人種差別的な言葉を浴びせられるのは、もちろん腹立たしいことだ。受け入れて気にせず前に進むべきだ、過度に騒ぎ立てるな、などと言う権利が、はたして白人多数派にあるだろうか。

そしてリベラルなイギリスが最も苦しい立場に陥っているのが、「パリティ(等価性)」の問題だ。複雑な議題ではあるが、事件直後の全体的な論調は、「黒人が抑圧された少数派であるのと同様に、トゥレット症候群の患者もまた少数派であるのだから、ある意味では仕方がない」というものだった。

これに対する反論は、たとえ人生を一変させるほどの症状を抱えた白人であっても、黒人の「生きた現実の体験」を味わっているわけではないし、何世紀にもわたる黒人抑圧の記憶やあの差別語にまつわる忌まわしい歴史を共有しているわけではない、というものだ。したがって、両者が相殺されると考えるのは単純すぎる。

しかしこの立場は、イギリスの左派が大切にしてきた考え――マイノリティーたちは自然と共通の目標を持つはずだ――と矛盾しているようにも見える。実際にはそうでないことは、フェミニストとトランスジェンダー活動家の対立や、同性愛に対するイスラム教徒の見解などからも明らかだ。

個人的には、今回の論争で階級の問題があまり取り上げられなかった点が興味深い。デビッドソンはスコットランドの小さな町出身の質素な生い立ちであり、その意味では俳優たちの方が「地位は上」となる。

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