中国にも生きづらさはあるが、ぶつかり族や痴漢は少ない
ぶつかり族はなぜ「故意にぶつかる」のか。複数の日本人に見解を聞くと「ストレス社会」を挙げる声が多かった。
職場でも家庭でも、中国人は互いに言いたいことをぶつけ合う。中国社会にも生きづらさはあるが、ぶつかり族や痴漢のように、ストレスのはけ口として無関係の人を対象に陰湿な行為に及ぶケースは少ない。
一方、日本社会はルールが厳格で、規範に従うことが重視される。ストレスがたまって大変ですねと、日本生活の長い私は同情もしたくなるが、外国人には理解し難い。その結果、「日本人は変態だ、民度が低い」といった極端な意見につながったのだろう。
しかし、どの国どの社会にも暗い一面はあるものだ。ごく少数の事例をネタに相手を批判しアクセス数を稼ぐネット民も、ここぞとばかりに政治利用する中国政府もナンセンス極まりない。
鬱憤晴らしでぶつかり行為を行えば、標的から思わぬ反撃に遭うこともある。同様にアクセス数稼ぎのSNS投稿が、思いもしなかった国家間の重大な対立に結び付く可能性もある。
今回の動画も、日本への渡航自粛を奨励する中国政府にいい口実を与えてしまったといえるのではないか。投稿する側も、コメントする側も、冷静な判断と大人の対応をしてもらいたいものである。
周 来友ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院を修了。通訳、翻訳、コーディネーターの派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレントとしても活動している。