Miho Uranaka
[東京 24日 ロイター] - 日本製鉄は24日、総額6000億円のユーロ円建ての転換社債(CB)を発行するとし、当初予定していた5500億円から上積みすると発表した。日本企業によるCB発行額では過去最大で、調達資金は、総額約2兆円に上る米鉄鋼大手USスチールの買収に伴うブリッジローンの借り換えに充てる。投資家の需要状況などを踏まえて増額した。金利上昇局面において、利息負担の軽減を図りながら、成長投資に向けた資金を確保する。
CBは2029年2月14日満期の3年債と31年2月14日満期の5年債の2本立てで発行する。投資家に配られたタームシートによると、転換価額は、足元の株価水準にプレミアム(上乗せ分)を付して設定する方針。仮条件について3年債のプレミアムが本日終値から10%、5年債が同11%となっている。24日海外時間に条件決定(プライシング)し、海外の機関投資家を中心に販売する。
3月12日の発行を予定している。両債ともに無利息で、金利の財務負担を抑えつつ、即時の希薄化を抑制した上で、将来的には株価の上昇に伴い株式への転換が進むことで財務基盤の強化も図れる。
調達資金は買収時に締結したブリッジローンの残額1.3兆円の借り換えの一部に充てる。一方で、需要拡大が続く高級鋼材の生産能力増強や、電炉の新設・改修などCO2(二酸化炭素)排出削減のほか、米国以外でもインドの海外事業の強化や既存高炉の効率化投資などの資金需要も控える中、財務の安定性に配慮しつつ大規模な資金確保を進める。
LSEG(ロンドン証券取引所グループ)のデータによると、6000億円のCBは日本企業による発行として過去最大となる。低金利環境下で社債や銀行借り入れを中心とした資金調達が主流だったが、金利上昇局面に入り、金利負担が増す中で、CBを相対的に低コストで資金を確保できる手段の一つとして検討する企業が増えている。
日鉄は2021年10月にも3000億円の転換社債を発行しており、株価上昇に伴って大部分が株式に転換された経緯がある。今回の大型発行は約4年半ぶりとなる。鉄鋼業界では、カーボンニュートラル対応や電炉への転換、水素還元製鉄の研究開発など構造転換に向けた大規模な投資が必要とされる。JFEホールディングスは、2023年秋に公募増資とCBを組み合わせて約2000億円を調達。業界全体で財務基盤を維持しながら長期的な戦略投資を進める動きが広がっている。