韓国に対しても類似の気持ちがあるだろう。韓国が米国を背景に、もし朝鮮半島を牛耳るようなことがあれば、絶対に許さない。金王朝を脅かすような動きには一歩も引かないというのが金正恩委員長の考え方だろう。だから経済的に韓国に依存する訳にはいかない。
アメリカには「支援欲しさに対話路線に転換したのだろう」と言われたくない。
つまり中国にも韓国にも、そしてアメリカにも「お金、ちょうだい」とは言えないのである。
それに比べて、日本からは躊躇なく経済的支援を引き出せるという「関係」にある。(北朝鮮が主張するところの)戦後賠償問題があるだけでなく、日本はいま北朝鮮に接近したがっている。そうであるなら、思いきり「日本外し」をしておいてから、「愛の実現」には「お金がかかる」ことを実感してもらおうという算段だ。
北朝鮮のそのやり方は、5月7日のコラム<中国、対日微笑外交の裏――中国は早くから北の「中国外し」を知っていた>など、一連のコラムで書き尽くしてきたが、北朝鮮が最も取引したいと思っている国は「日本」なのである。同コラムで書いた2002年の小泉訪朝がそれを象徴している。
いま、「拉致問題は解決済みだ」と豪語するその裏では、「これだけ脅しておけば、日朝首脳会談が実現した暁には、日本はきっと羽振りよく献金するだろう」ともくろんでいるにちがいない。
今度はアメリカへの「歪んだ求愛」か
米韓が11日から合同軍事演習をしていることに対して、金正恩流の「恫喝と求愛」という一見矛盾する行動が始まった。本日(16日)の南北ハイレベル会談を中止しただけでなく、何なら「米朝首脳会談も考える必要がある」と言い出したのだ。
すでに6月12日にシンガポールで開催すると公言してしまったトランプ大統領には、退路はないだろうと計算して主導権を握ろうと試みたものと推測される。
米韓合同軍事演習は認めると言っていたし、必ずしも在韓米軍の撤退を要求するとは限らないようなことも言っていた金正恩だったはずだが、これも最初から計算し尽くされていたシナリオだろう。
日本こそは北の最終の求愛相手
日本は「蚊帳の外」などではない。
北朝鮮の最後の重要な「求愛の相手」だ。このことを見極めて、日本はあくまでも毅然と振舞うべきで、こちらから「どうか日朝首脳会談を」などと求愛してはならない。そのようなことをすれば、拉致問題解決は遠のく。むしろ最初から日本独自の接近を図るべきだったが、そうはしてこなかったのだから、今となってはなおさらのこと毅然としているべきである。
北朝鮮と中国の関係の真相を正視し、北の戦略に乗らないよう望むばかりだ。
