歴史を左右した可能性?

要するに今回の事件では、有権者に候補者のメッセージを効率的に伝えると称して、うさんくさい選挙コンサルタントがうさんくさい手を使っていた。

フェイスブックにしてみれば、無節操なアプリ開発者が当時の寛大な利用規約を悪用したせいで、窮地に追い込まれたことになる。ツイッターなど他のプラットフォームも同様に悪用される可能性がある。

そう考えれば、フェイスブックの幹部たちの的外れな言い訳も納得できる。彼らはそれほど問題のある行為をしたと考えていないのだ。なかでも最高情報セキュリティー責任者のアレックス・ステイモスは、これをデータの「漏洩」と報じた3月17日付の英ガーディアン紙に反論した(このツイートは既に消去。同氏が8月に退社するとの報道もある)。

もしデータの「漏洩」があったのなら、フェイスブックは州政府や米連邦取引委員会(FTC)から法的責任を問われる可能性がある。

もしもデータの流出がなく、フェイスブックのセキュリティーも破られていなかったのなら、なぜ今回の件で(悪徳会社ケンブリッジ・アナリティカだけでなく)フェイスブックまでが非難されるのか。

事が重大過ぎるからだ。問題のデータが、例えば冷蔵庫の販売や迷惑メールの送信に使われたくらいなら、こんな大騒ぎにはならなかった。しかしトランプの大統領選勝利にフェイスブックが何らかの貢献をしていたとするなら一大事だ。なにしろあれで歴史の流れが変わったのだから。

それに、トランプ陣営が選挙戦でフェイスブックを大いに活用したことは分かっている。ブレグジット(イギリスのEU離脱)推進派も同様だったし、それにはケンブリッジ・アナリティカも関与していた。

しかし別な理由もある。世界中の人に無料のネット・サービスを提供し、代わりに利用者の個人情報をひたすら収集して稼ぐ仕組みを真っ先に確立したのがフェイスブックだからだ。

フェイスブックは貴重なデータをケンブリッジ・アナリティカという悪徳業者に不正使用された被害者ではない。不正を働いても使いたくなる種類の膨大なデータを集め、整理して提供した張本人なのだ。

これは悪魔との取引か

似たようなビジネスモデルの企業は多い。広告料収入でウェブサイトを運営するやり方も昔からある。しかしフェイスブックは世界中のどの企業よりも膨大な数のユーザーに個人情報を提供させ、それを第三者が広告料と引き換えに利用し、商売に使うことを認めてきた。

問題はフェイスブックのビジネスそのもの