<使い捨ての消費文化に対抗しようとしている世界的なネットワーク「修理カフェ」の活動が世界に広がっている>

ゴミ問題やCO2問題に修理という解決策

壊れたら買い換える、「使い捨て文化」という言葉が使われるようになってから久しい。しかしそれに伴い、ゴミの問題も指摘されるようになった。世界銀行が2012年に発表した数値によると、世界的に私たちは1日1人あたり1.2キロのゴミを出しており、2025年にはこれが1.42キロに増えると予測されている。

英紙ガーディアンによると、英国で2016年にゴミ廃棄場に捨てられた衣類は30万トンに上り、英国での衣類の平均使用年数は3.3年だった。また、ゴミとして捨てられる電子機器や電気製品は、2018年末には世界で5000万トンに達すると予測されているという。

こうした使い捨ての消費文化に対抗しようとしている世界的なネットワークがある。「修理カフェ」だ。壊れたものを持ち込むと、ボランティアの人たちが無料で修理してくれる。ヘアアイロン、掃除機、ラップトップなどの電気製品から、ダイニングチェアなどの家具、ジーンズなどの衣類と、対象はさまざまだ。

公式ウェブサイトによると、修理カフェ第1号店が生まれたのは2009年、オランダのアムステルダム。現在は非営利団体の「リペアカフェ・ファウンデーション」として、世界に1500店の修理カフェを抱える(常設ではなくイベントとして運営しているところが多いようだ)。

修理さえすればまだ使えるという物を直して使うと、ゴミを減らす以外にも利点がある。新製品を作るために必要となる原材料やエネルギー、二酸化炭素排出を減らしたり、廃棄されたものをリサイクルする際に出る二酸化炭素の排出を減らしたりできるのだ。

ガーディアンによると、英国ロンドンの郊外に位置する都市レディングにある修理カフェでは、同紙が取材したこの日だけで、ごみになるはずだった品物24キロが修理によって復活し、284キロの二酸化炭素排出を防いだという。

地域社会の活性化も

英国北アイルランドの首都ベルファストに修理カフェ1号店ができたのは2017年後半。BBCによると、今年2月に行われた修理カフェのイベントでは、15人のボランティアが修理専門家として働いていた。ここで自転車修理工として活動していたビクター・ヘンリケズさんは、「自分たちが住んでいる使い捨て社会を何とかするため」に参加を決めたという。「自転車を買っても、パンクしたりチェーンが切れたりするとそれで捨ててしまう。私にしてみたら馬鹿げた話だし、環境にやさしくない」とBBCに話した。

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単独で活動するのではなく、修理できる人たちが集まって自分の得意分野を受け持つ、というのが修理カフェの魅力でもあるらしい。ヘンリケズさんは、「(修理は)私の趣味でもあり大好きなことでもあるけど、人が集まって互いに助け合える、集団での取り組みであるべきだ」とBBCに語った。

ベルファストの修理カフェの主催者クリスティーン・マッカートニーさんはBBCに対し、修理ボランティアには、アマチュア修理工、裁縫の専門家、元エンジニア、元教師などがいると説明。こうした人たちがスキルを持ち寄り、他の人たちとつながり助け合えるのが修理カフェであり、この動きが地域社会の精神を回復してくれるのではと期待していると話した。

修理が政治的な行為にも?

前述のガーディアンは、修理カフェに伴う難しい面も指摘する。メーカーが修理に消極的な場合もあるのだ。例えば米国の農業機械メーカー、ジョンディアは、知的財産保護を理由にユーザーが自力で修理することや独立系の修理屋に持って行くことを許していない。また、修理屋に持って行くことが許されているようなメーカーの製品でも、修理するとむしろ高くつき、もっと新しい型を買ってしまった方がいいという場合も少なくないだろう。

修理ボランティアとして活動するスチュアート・ワードさんはガーディアンに対し、自力での修理が否定されるこのような環境において、修理は政治的な行為になってしまった、と説明。それでも、「修理する権利」はその製品のオーナーにとって「基本的なもの」だと訴えている。

また、無償で修理をする修理カフェは、修理を商売としている人を邪魔するのではないか、という声も寄せられることもあるようだ。しかし修理カフェは公式サイトで、前述のように修理が高くつくことが多いため、修理カフェに来る客層は「(高いお金を出して修理するくらいなら)捨てる人たち」であるため、修理屋さんの客を奪っているということはない、と説明している。