このように最高裁の判断は、セクハラの被害者が泣き寝入りせざるを得ない状況をつくり出してきた。立法措置で司法の誤りを正すことは可能だが、共和党が多数を占める議会が公民権法を改正することは望み薄だ。

州法や市の条例で不備を補う方法もあり、ニューヨーク市はより厳しいセクハラ対策を企業に求める条例を制定している。しかし自治体レベルで細かな改善策を積み上げても、全米規模の問題は解決できない。

セクハラがはびこる現状は司法だけの責任ではない。法律は社会の慣行や文化と切り離せないし、アメリカの職場ではどこもかしこも性差別がまかり通っている。シリコンバレーでさえ旧態依然の「男社会」だ。

多くの企業はこうした現状に見て見ぬふりを決め込み、司法もそれを黙認している。だが企業は法律が求める以上のことをやれるはず。アメリカはセクハラ危機に見舞われている。この危機に足をすくわれたくなければ、早めに手を打つことだ。

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