この売却益を確保するには東電の「企業価値向上」が不可欠になる。再建計画では、廃炉と賠償に係る5000億円の費用の確保のほかに、16年度に1300億円だった純利益を4500億円程度に引き上げる必要があるとした。

原発再稼働を前提とした26年度までの収支計画と比較して、純利益のレベルを概ね2倍以上に引き上げる必要がある。

そのために、新計画では海外事業を通じた収益拡大、送配電や原子力分野で「共同事業体」を設立、再編・統合を通じた収益力強化が必要と明記した。

東電の会見に先立って計画内容を説明した原賠支援機構の幹部は、「共同事業体設立には潜在的パートナーの理解を得ていくことが大事。多様な提案を受け付けること、分野ごとに着実に進める」などと説明した。

とはいえ、数十年間の長期にわたり、ばく大な資金負担を強いられる東電との再編に踏み出すことに、電力会社側の警戒感は極めて強い。1、2年といった比較的短期に東電との再編で前向き姿勢に転じる電力会社が出現する公算は小さそうだ。

柏崎刈羽原発の地元新潟県の米山隆一知事は、昨年10月の就任以降、再稼働に厳しい姿勢を崩していない。再編、再稼働がそれぞれ実現しなければ、新計画が「絵に描いた餅」に終わる可能性も否定できない。

国有化は継続

合わせて原賠支援機構は、現行の再建計画で2016年度末に実施する予定だった東電の経営評価の内容を公表した。

それによると、燃料・火力事業での中部電力<9502.T>との提携や6年半ぶりの公募社債市場への復帰などを評価した。

一方で、福島第1原発事故でのメルトダウン隠しや柏崎刈羽での免震重要棟の耐震性に関する対応の不備といった原子力安全の徹底などで「進捗が十分でなかった」と指摘。機構を通じた国の議決権比率2分の1超を継続するとの結論を示した。

(浜田健太郎 編集:田巻一彦)

[東京 11日 ロイター]
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