数年前に決裂した案件も復活

 ロンドン在勤の一部バンカーによると、航空宇宙、住宅建設、小売りといったセクターの英国企業はキャッシュリッチな外国企業に敵対的買収を仕掛けられると感じている。

 JPモルガンのグローバルM&A部門共同責任者、ハーナン・クリスターナ氏は「海外のライバル企業に不必要な買収機会を与えないよう顧客企業を支えている」と話す。

 また、関係筋によると、米国とアジアの複合企業は英国企業が割安となっている機会を生かそうとしており、中には価格面で折り合わずに数年前に決裂した案件に再び取り組むため、銀行とアドバイス契約を結んだ外国企業もあるという。

ソフトバンクによる有用な教訓

 一方、価格面の話を除けば、外国企業にとって英国企業の買収は難しい判断を迫られることになる。英国とEUの将来の関係をめぐる不透明感を評価しなければならないためだ。

 巨額の買収案件は政府の厳しい審査に直面する可能性もある。メイ英首相は「戦略的に重要」とみなす英国企業を対象とする外国企業による買収には反対すると表明している。

 しかし、複数の銀行筋によると、英国政府からすぐさま歓迎の声が上がったソフトバンクによる友好的なARM買収は、国民投票後のM&Aにとって有用な教訓を示したという。

 ソフトバンクは向こう5年でARMの英国人員を2倍に増やし、ケンブリッジ本社を維持すると約束した。

 助言会社ペレーラ・ワインバーグのパートナー、パウロ・ペレイラ氏は「『政争の具』があまりにも多いため、敏感なセクターで大きな契約を交わしたいなら事前に一定の譲歩を検討し始めるのが賢明だ」と述べた。

 (Pamela Barbaglia記者、Freya Berry記者 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)

[ロンドン 24日 ロイター]
120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます