欧州連合(EU)離脱派が多数を占めた英国民投票を受け辞任したキャメロン英首相の後を継ぐメイ次期首相。そして、EU加盟国のどの首脳よりも影響力のあるドイツのメルケル首相。ともにキリスト教の聖職者の家に生まれ、類まれな頭脳を持ち、並み居る男性政治家を押しのけて保守政党のトップに上り詰めた。英国の離脱交渉では、出自の似た2人の女性首脳が一戦を交えることになる。

 59歳のメイ氏はオックスフォード大で学び、ドイツ政府幹部は「とてもしつけのいい女性」と評する。この6年間、内相を務め、フランスのカズヌーブ内相と非常に良い関係を築いているともいわれる。

 61歳のメルケル氏は2005年の総選挙で華々しい活躍をしていた社会民主党のシュレーダー前首相を破り、首相の座に10年就いている。英国民投票後にはフランス、イタリアの両首脳と会談しEUの将来について協議するなど、重要な役割を担っている。

 EU基本条約のリスボン条約によると、離脱の手続きは英国以外の加盟27カ国の首脳で構成する欧州理事会で決定しなければならない。

 メルケル、メイ両氏の共通理解は、国民投票の結果を尊重し「離脱を決めたら離脱する」だ。だが、譲れない一線もある。

 メイ氏は離脱手続きを急ぎたくない。一方で、メルケル氏は英国に対し早急に離脱に向けた主張を明確にするよう望んでいる。

 メイ氏の最も重大な使命は、英国によるEU単一市場へのアクセスを確保した上で、EUからの移民を制限することだ。他のEU加盟国首脳は、人の移動の自由が確保されてこそ市場のアクセスは可能になるとの立場を示している。メルケル氏もドイツにとって5番目のモノの貿易相手国である英国との強力な関係は保持したいが、それよりも重要視しているのは、EU27カ国の団結だ。